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盗まれたNEMを追跡する手法についてーわかりやすく解説

レポート「アルトコイン図鑑」では30種類以上のコインの概要と見通しを解説(詳しく)

盗まれたXEMを、追跡することができる仕組みというのが注目をあびています。

これについて、理解したところを、やさしく解説します。

新機能をつくったのではなく、すでにある機能を機転をきかせて応用してうまく利用した、という感じですね。

まず、NEMにおいては、イーサリアムのトークンのように、NEMのプラットフォーム上で独自のトークンを作るという機能があります。これをMosaicと呼んでいます。

ユーザーは勝手に好きなトークンを作って流通させることができます。そこで「盗難マーキングトークン」といったようなものを作るわけです。

そのトークンを、犯人のアドレス(コレは判明している)に勝手に送りつけてしまう。強制エアドロップですな。

犯人は、当然ながら、このトークンの受け取りを拒否できません。ブロックチェーン上でみると、犯人のアドレスにそのトークンが存在したという履歴は確認できてしまいますし、隠すこともできません。これによっって、そのアドレスがいわゆる犯人のものであるというのをマーキングしてしまう、という考え方です。

これだけなら他のプラットフォームでも実現できそうですが、ポイントになるのがNEMの非常に珍しい機能です。

NEM上でつくられるトークンには、移動の制限があるトークンを作ることができるようで、うまく機能を組み合わせると「トークンを作成したオーナーしか移動できない」という性質のトークンが作れるようです[1]。

マーキングトークンをこの設定にしておけば、犯人は受け取ったトークンを勝手に第三者におくったり、バーンしてしまったり、送り返すことも出来ません。マーキングされっぱなしという辛い状態になるわけです。

このマーキングは手動で行う必要があります。もし犯人が、XEMを別のアドレスに送った場合はどうでしょうか。そのアドレスはまだマーキングされてませんから、誰かがブロックチェーン上でXEMの移動を検知して、移動された先にもマーキングトークンを送りつける必要があります。
ずっとモニターしないといけませんので、これはbot化される予定(された)ようです。

このマーキングがあるおかげで、XEMを受け取ったひとはマーキングの有無をブロックチェーン上で確認することで、盗難コインなのかどうかを判別できるというわけです。(普通のユーザーでもマーキング有無を簡単にチェックできるツールを開発するそうです)

なお勘違いされやすいですが、NEM自体の機能でマーキングのあるものを無効にするということはできません(しません)。マーキングの有無を解釈し、どのように取り扱うかは、取引所もふくめての社会的合意によるものになります。

たとえば、取引所はマーキングのあるアドレスから入金された場合に、入金を許可せず、没収してコインチェックに返却するなどの対応が考えられます。

さて、このマーキングですが、いくつか課題もあげておきます。
まず当たり前ですが、これはマーキングだけなので、犯人から強制的にコインを取り戻すということはまったく期待できません。

次に、いつまでこのモニターをやる必要があるのか、延々とやり続ける必要があるかもしれないという点。

3つめは犯人側からのアタック。私の頭でぱっと思いつく嫌がらせとしては、例えば、犯人のほうがブロックチェーンをモニターして、直近のXEM送金にもれなく犯人のコインをエアドロップし続けるといったことを行うこと。

そうすると、マーキングに気づかずコインを使ってしまうひとも増えそうで、そういうひとのコインも使えなくなっちゃうのということになると、なかなか厳しくなっていきそうです。ですので、拡散されるまえに、封じ込めが必要だろうと思います。

いずれにしても一筋縄で行くとは思えず、犯人との知恵比べが続きそうです。

用語と注記

NEM: プラットフォームの名前
XEM: NEMプラットフォーム内でつかわれる通貨単位
トークン: XEMとは別に創りだすことができるプラットフォーム内で自由に送付、交換することができるコインのようなもの

[1] 第三者に譲渡不可能なトークンという設定がある。これを使うとチケット転売禁止のようなトークンを作ることができる。さらに「税金」機能をつかうと送金の際に特定のトークンで手数料を払う設定にできるが、この手数料支払トークンを一般に配布しないトークンを設定してしまえば、トークンの移転が不可能になる。
参考 http://yu-kimura.jp/2018/01/29/nem-mosaic/

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