
暗号通貨の秘密鍵の安全性を守るには、唯一無二に真の乱数が必要です。
コンピュータの乱数は、擬似乱数といわれて真の乱数ではありません。長い周期をとると繰り返しがみられてしまうほか、初期値(シード)の与え方がわるいと同じような数列が出てしまうことが有ります。コンピュータのランダム関数をそのまま秘密鍵の生成に使うのは暗号の安全性の基準からはよろしくありません。
多くは、コンピュータ内部の情報だけでなく、マウスの動きや、機器の電子ノイズなどの信号を取り入れて、ランダムネスを向上させています。
さて、今回手に入れたのは、プレシジョンダイスといわれるサイコロです。 続きを読む その秘密鍵、本当に安全ですか?ーあるサイコロの話 →
2019年の始まりにあたって少し思っていることをつらつらと書いておこうと思う。
3つの短いエピソードから始めたい。
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1年ほどまえに、ある著名ベンチャーの役員と食事をしたことがある。古くからの知り合いだったからだ。もちろん話題は暗号通貨になるのだが、どうしても暗号通貨がピンとこず、腑に落ちないというのだ。
私はすこし考えた挙句、価値の保存とか、政府にとらわれない資産だとか、そういうことも喋ったのだけれども、自分自身としてすごくピンときた説明をした記憶がある。 続きを読む 暗号通貨のこれからの10年についてー3つのエピソードから →
年始にあたり、毎年恒例の今年(2019年)の業界予想(と昨年の答え合わせ)を行ってみたいとおもいます。
まずは簡単に昨年の振り返りを。的中した予想、外れた予想を検証します(昨年に私がおこなった予想はこちらの記事を参照してください。また予想はブログ記事以外にサロン内で書いたものも含めます)
ほぼ的中した予想
- ASIC供給の新規参入、分散化(Bitmain以外の2−3社のASICメーカーが現れ、Bitmainのシェアが50%を割る)
- ICOはゴミ案件ばかりに。ICO自体が見向きもされなくなる
- 年内のSegwitトランザクションの比率が50%を超える
- BTCは平和で内紛は起こらず、内紛は完全解決する
- ライトニングのメインネットがローンチし、いくつかのサービスが立ち上がるものの一般への浸透はまだ
- サイドチェーンが一部ローンチする(Liquid)
- BCHは、多機能化する方向を目指す(BCH-ABC)
- PBFT型POS、インターチェーンまわりで複数の新プロジェクトが企画される
続きを読む 2019年暗号通貨の相場と業界予測 →
ビットコインのブロックサイズは1Mです[*1]。
これは、現在の普通のサーバーが処理できる取引量にくらべて、とても小さいサイズです。これをめぐっては数々の論争がありました。
マシンパワーとメモリ、ネットワーク速度が加速度的に向上(ムーアの法則)しているのだから、ブロックサイズも上げていくべき、というのがビックブロックの思想です。将来的には1ギガバイトのブロックも可能であると主張しています
なので、1Mのブロックを保つことは「人為的に上限を設けていること」であり「折角あるリソースを使わない愚行である」と批判しています。
たしかに、現在のハードウェアリソースであっても、1MBを超えるブロックサイズは問題ないですし、BCHでは32MBは動いていました[*2]。
ではなぜ1MBにこだわるのか?しかも、更にトランザクションサイズを小さくしようと、細かい効率化をしようとしています。そんなのムーアの法則の前には無駄な努力に見えないでしょうか?
いえ、スモールブロックにはもっと別の意味があるように思えるのです。
これを見通すには、発想を逆転する必要があります。
どういう逆転でしょうか? 続きを読む スモールブロックの真の意味 →

ビットコインキャッシュのハードフォークが終了しました。私の予想どおり、チェーンは互換性のない2つのチェーンに分岐しました。
互換性がないので、再編成も起こらず、今後もどちらかに統合されることはないでしょう。チェーンの分裂が恒久的になりました。それに伴い、コインも2つに分裂しました。
今回の件は、パブリックチェーンのガバナンスに関して、大きな教訓を与えてくれたとおもいます。本記事は、ハッシュウォーから何を学ぶのか、学んだのか?について私の意見をまとめます。
そもそもビットコインキャッシュのガバナンスの憲法は、
「1つの開発チームが独占開発する(BTCのようなガバナンス)は悪だ。複数の開発チームが独自に機能を実装する自由競争を是とし、互いの仕様が矛盾した場合、ハッシュウォーを実施して、最も大きなハッシュ支持があった提案だけが生き残ることとし、我々はソフトウェアをアップデートしていく」※1
というものでした。ビッグブロック主義に加え、ハッシュがすべてを決めるというガバナンス思想は、他のコインにはない最大の特徴だといえましょう。
今回のハッシュウォーはまさにそのガバナンスが機能するかどうかが問われたのです。 続きを読む BCHハッシュウォーから何を学ぶか? →

BCHのハッシュウォーの行く末を予想します。
前回検証したように、チェーン自体はHFを起こして2つに割れると思うので、ハッシュウォーというのは、なんらかの手段で相手のチェーンを攻撃するといったことを指すと思われます。
いちばん単純なのは自身のハッシュパワーをつかって、相手チェーンを空のブロックで掘ること。そうすると相手チェーンでは送金が処理されなくなります。これが一番シンプルな妨害策です。
さて、ほかにも攻撃のベクトルが考えられます。
SVはブロックサイズを128MBにあげました。ここにヒントがあるようにおもえます。 続きを読む ハッシュウォーの攻撃手法と、その結果に関する考察(敵対的HFは必ず2つのコインに分岐する) →
ビットコインキャッシュは、BCH-ABCと、BCH-SVの現在2つの相異なる仕様が提案され、このままいくとコインが分裂するのではないかと予想されています。
ビットコインキャッシュでは、ひとつの開発チームが仕様を決めるのは中央集権的だと考えています。そのため、複数の開発チームが独自に(自由)に仕様を提案し、相反する仕様が提出されたら、マイナーがハッシュパワー投票により、1つの仕様を選ぶというガバナンスを憲法としています。
決定権があるのはマイナーで、唯一マイナーのハッシュパワーのみに決定権があります。それがBCH Wayです。
今回がまさにそれにあたり、マイナーはハッシュ投票により支持のチェーンを選び、多くのハッシュパワーを得たチェーンのみが生き残り、他方は消滅する、としています。
リプレイプロテクションをつけないので、ひとつのチェーンだけが残るとしていますが、果たして本当でしょうか?
またDAAがあるので、チェーンの長さに決着がつかず、どちらも同じような長さになるはずだ、という予測もあります。
いったい何が正しいのでしょうか?
私が専門家とともに検証したところ、どうやら、両方のチェーンが生き残り、コインが分裂することが不可避のように思われます。
以下に理由を書きます。 続きを読む ビットコインキャッシュのハッシュウォーの結論(分裂が不可避な理由) →
暗号通貨及びブロックチェーンについて専門的な事柄をわかりやすく解説します。