仮想通貨関連の消費者トラブル事例を検証してみた結果

レポート「アルトコイン図鑑」では30種類以上のコインの概要と見通しを解説(詳しく)

消費者庁が、仮想通貨にまつわるトラブル事例として資料をまとめています。これは金融庁の審議会に参考資料として提出されたものです。

資料

このなかで、トラブルの具体例が乗っているのですが、規制で解決すべき問題以外に、ユーザーのリテラシー不足や、とばっちりじゃないかという問題もふくまれていますので検証してみます。

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まずシステム関連。

「700万円を保有していたがハッキング被害にあって失った」

この事例ですが、NEMの流出事件のことであれば業者が悪いとおもいますが、取引所に預けていたが・・という文言がないため、自己のハッキングの可能性もあります。

2番めは、明らかに不正アクセスされたとあります。たいがいは取引所の口座に、2段回認証を設定しておらず、パスワードを単純なものまたは使い回しをしている事例です。不正ログインされて仮想通貨を失うケースは起きており、これを取引所のせいにするのは流石に酷です。

3つめは、システムエラーでのロールバックです。

このなかで、は3番めだけが明らかに取引所の問題で規制監督対象であり、2は自己責任、1はおそらく自己責任でしょう。

次は事業者の対応問題。

19歳であれば取引できる問題。これは成人の権利の多くが18歳以上で行うことができ、成人の年齢を引き下げることも議論されているなか、議論の余地はあるが、必ずしもひどいとはいえないとおもいます。

次にスマホ用の取引アプリのIDを消去。これは取引所のIDでしたら業者が再発行すべきですが、たんなる取引アプリなのでしょうか。本当は自己管理のウォレットである可能性もあり、セルフGOXではないかと疑います。その場合、業者は返答しようがありません。最近の業者のサポートはそれなりによく、IDを再発行といった問題に返信しないとは思えないのですが・・・

仮想通貨を他の取引所に送金したが・・消えた。という問題。これも、他の取引所に直接送金したんでしょう。これは行方がどうなっても仕組み上わかりません。それに多分ETHが混雑しているときに出金申請したんだとおもいますよ。で、出金TXが通らず消されてしまった。これはネットワークの混雑のせいで、業者のせいにするのは酷です。自分のウォレットに引き出してから他に送らないと、こういうのは責任とえません。

仮想通貨の口座をまちがえて入金した。というのは、完全なセルフGOXです。取り出してくれるだけマシ。

ということで、この業者の対応の問題は、すべからく業者が「リテラシーの足りないユーザーのとばっちりを食らっている」状態といえます。

トラブルの有無についての問い合わせ

これは金融庁に登録している業者かを自分で確かめればよいわけです。金融庁のページに書いてありますから。

まあとくに2番め3番めは、勧誘やはがきがきたという相談の内容からみて、「儲かる投資話がきたけど、騙されたら自己責任ってのはこまるから、なんとかあんた判断してお墨付きしてよ」って話だとおもいます。

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次のスライド。ICOに関するもの。

上場されるとしたトークンに投資したが、トークンが発行されない。というのは、明らかに騙されたパターン。ご愁傷さま。

ICOは確かに詐欺がほとんどという悪質な状況が多く、一定の規制が必要という意見があるが、実態があり開発していたプロジェクトでも頓挫するものも多い。プロダクトローンチ前なんだから、ほんとに初期のベンチャーに投資するようなもんで、失敗のほうが多いんだよね。だから、実態のあるプロジェクトだけがICOできるように規制したところで、こういう苦情は減りません。根本的には、的確投資家のみ販売するといったファンド規制みたいな形になってしまうでしょうね。

次の相談はもっとひどい。ICO案件を8人に紹介したが、その後進展がなく、友人から返金をたのまれていると。これは詐欺の片棒を担いだのに、気づいてないわけですね。友人から詐欺行為で訴えられるのはあんただよ!って。よくまあこれを消費者庁に相談するわ。

のこりは、仮想通貨関連とは思えない相談事例。まあ仮想通貨をつかった典型的な詐欺勧誘やねずみ講系ですね。

これを見てますと、私がみるに、まっとうなクレームは1件だけ。ロールバックに関するものだけに思えます。

これをみて、業者はけしからん、もっと規制しろ、と読み取るようでしたら、何も現状を理解しておらず、責任を他人に押し付けているだけです。なんでも業者のせいというのは酷です。これじゃ、健全な消費者も育ちませんよ。

とはいえ、業者としては消費者庁からこんな内容で文句をいわれて規制されたもんじゃどうにもなりませんから、自衛策も必要でしょう。

私は、プロファイリングの導入を提案します。仮想通貨の性質や、ウォレットの概念、自己責任の範囲など、簡単なテストに合格しないとそもそも取引できないようにするやつです。海外のリスクの高いファンドに投資しようとすると、経験とか理解をきかれることがありますよね。あれです。あれの厳しい版。出金とかも、自己管理に関するテストに合格しないと出金できなくしたりとかしたほうがいい。2段階認証しないと入金できないとか。

もしくはプロファイリング結果で、売買できる金額や、売買できるコインの種類を変えたりとか。こういうのを自主規制で議論するというのはどうでしょうか? たとえば金融取引に関する一律の法律の規制が適用されて、ガチガチしちゃうよりも、実効性もありますし、理にかなっているとおもいます。ユーザーのリテラシーが向上したら緩和すればいいわけですし。

取引所としてはとにかくリテラシーの低いそうにたくさん草コインを売りつけて儲けたい気持ちはわかりますが、最後は自分の首を締めかねないので、非常にリスクが高く特殊なリテラシーを要求される仮想通貨という性質上、プロファイリングの導入を検討してみてはいかがかと思います。

 

 

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