「フォークの自由を!」ビットコインの難易度調整における課題

レポート「アルトコイン図鑑」では30種類以上のコインの概要と見通しを解説(詳しく)

Segwitのアクティベーションをめぐり、再び政治抗争が激化しています。Bitcoin Unlimitedが一定のハッシュパワーを持ち、アクティベートを阻止する可能性もあります。

Unlimitedの主張は、「選択の自由」で、「現状Core Devチームに権限が集中している体制を批判」しているといいますが、仮にもしUnlimitedが採用されたとしても、開発の権限がCoreDevから、Unlimitedのチームに移行するだけで、開発権限が集中していることは変わりません。

むしろ、Unlimitedの開発チームのほうが特定の人にバックされた少数の人々で、より権限の集中体制が進むという逆効果になる可能性もあります。

このような抗争はいつまでも続くように思います。というのも、ビットコインでは、自由にフォークすることが難しいからです。

ビットコインは、ディフィカルティ(難易度)の調整に2016ブロックを要します。もし、現在のViaBTCが5%のハッシュパワーをもって、Ethereum Classicのように旧ヴァージョンにとどまりフォークしたとします。その場合、難易度はそのままですので、1ブロックを掘るのに5%のパワーでは20倍=100分かかることになります。難易度はいずれ、調整されますが、そのためには2016ブロック掘らなくてはいけないので、通常ですと2週間のところ、40週間を要することに成ります。之では難しいでしょう。

Ethereum の場合、難易度は滑らかに調整され、1ブロック毎に調整が進みます。Ethereum Classicは、当初1%のハッシュパワーしかありませんでしたが、それでもすぐに難易度が調整され、採掘が進みました。ですからフォークコインとして機能しています。

私の提案は、ビットコインの硬直的な難易度調整のアルゴリズムを改善することです。1ブロックごとに滑らかに調整するようにすることを提案します。

こうすることで、2つの効果が得られます。

  • フォークの自由(Freedom of Fork)

ビットコインの現状の仕様や開発者が気に入らなければ、マイナーを引き連れて、いつでもフォーク版をたちあげられます。立ち上げはスムーズで、既存のコイン保有者に強制をしいません。

既存コイン保有者は、そのフォークのコインも同時に手に入れることができるので、価値は毀損されません。むしろ、増える可能性もあります。EthereumではEthereum+Classic合計価値はむしろ増えました。

開発者とマイナーは自由に競争し、よりよいコインをつくることによって、コイン保有者の富が増えることに成ります。これは、Unlimitedの人が主張する、Freedomに最も近いかたちになるでしょう。

  • マイナー離脱への保険

なんらかの理由で、ビットコインのマイナーが大量離脱した場合、さきほどの理由からビットコインのマイニングが停滞し、それが価値の低下を引き起こし、さらなるマイナーの離脱を起こし・・と、負のスパイラルが連続することで、ビットコインがあっというまに機能停止に陥るリスクが考えられます。

私はこれがビットコイン最大のリスクと理解しており、柔軟で素早い難易度調整のアルゴリズムの導入により、これらのリスクが軽減されることを望みます。

・おしらせ
ビットコイン研究所の有料版サロンでは、平易な言葉で最近の技術や業界事情などについて解説するレポートを毎週配信しています。

暗号通貨について、もっと知りたい、勉強をしたいというかたに情報を提供しています。サロン内では疑問点も質問できます。

一度登録いただけると100本以上の過去レポートが読み放題で、大変お得です。レポート一覧がこちらのページありますので、よろしければいちど目をとおしてみてください。