PoSコインのセキュリティとビッグバン問題

レポート「アルトコイン図鑑」では30種類以上のコインの概要と見通しを解説(詳しく)

今後Posにおいても十分なネットワークのセキュリティが確保できるという仮定を置こう。たとえば、EthereumのCasperが本当に設計通りに動くことができれば、Ethereumのネットワークを攻撃するには、Ethereumの時価総額の1/3のコインを誰かが集めないといけない。これは事実上不可能である。

ネットワークへの攻撃にかかるコストが、コインの価値を決めるとする説があるが、それが正しいならば、PoSかPoWであるかは攻撃コストという意味では差異がないと言える。

さて、ここで考えるのは、そのコインはどこからやってくるのだろうか?

PoSの場合、コインを持っている人に対して、追加のコインが配布される。言い換えると、ある時点でコインを持っているひとの集合が、その後のすべてのコインも保有することになる。

これを時間軸を遡ると、初期配布の時点に行き着く。PoSコインにおけるビッグバンである。PoSコインはビッグバンと同じく、この1点においてすべての原材料が生成される。それを所有するひとが、その後の世界も所有する。

PoSの初期配布の形態はいくつかある。

  1. 最初に関与したグループのメンバーが100%のコインを保有し、その後、市場で売却する。メンバーの数は、数人から100人以下(つまり少数)
  2. タダですべて配る。何らかの公平な基準により、小口ですべてのコインをAirdrop配る。
  3. 当初PoWで配布し、長期間にわたり一定のコインを配布後に、PoSに移行する。PoWの場合は、配布の問題は生じない。なぜならマイニングコストというその時の時価を払えば、だれでもコインを生み出すことができるからである。
  4. 発行上限を設けないICOですべてのコインを売る。買いたい人が買いたいだけ買えて制限がないならば、時間軸は極端に短いが、3番の配布方法と等価である。

PoSコインはビッグバン問題がつきまとう。ビッグバンの設計により、その宇宙(コイン)がどのような結末を迎えるかは予め決まっているのかも知れない。

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