ビットコインのハードフォークに対する取引所の声明の解釈について

レポート「アルトコイン図鑑」では30種類以上のコインの概要と見通しを解説(詳しく)

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すでにみなさまもご存知かと思いますが、取引所20社及び、PoloniexとBitmexより、ビットコインがフォークした際の取引所の扱いについての説明が発表されました。

これに関して、取引所がBitcoin Unlimitedコインを取り扱わないというスタンスの声明であるといった誤解もうまれているので、横からですが、補足しておきます。

もしハードフォークが起こると、ビットコインは2つのチェーンに分離します。Coreのクライアントを中心とした1Mチェーンと、アンリミテッドのビッグブロックチェーンで、これらは互換性がないため(なのでハードフォークという)、現在のビットコインは2つのコインに別れます。

現在のビットコインを保有しているひとは誰でも、ハードフォークの瞬間から自動的に同数のアンリミテッドコインを保有することになります。

問題は、これらの2つのコインを別々のものとして扱うことができるかどうかです。リプレイ攻撃という問題が有り、ETH・ETCのハードフォークの時に大きな問題になった脆弱性です。

これに対する有効な防止策がなされていないと、ウォレットや取引所は2つのコインの識別が困難になります。つまり、2つのコインを分離して別々のアドレスに送金したり、別々に保管したり、片方だけを売ったり買ったりといった事が極めて困難になります。

取引所の声明はこの点を指摘しており、アンリミテッドがリプレイ攻撃への防止策をソフトウェアに取り込まなければ、取引所がアンリミテッドコインの分離を安全に行えないため、独立して取引を行うことができない、ということを述べています。つまり、BTU/USD、ETH/BTU、BTC/BTUみたいなペアは取引不可能だということです。

無理に分離しようとすれば、コインを失いかねないため(顧客資産を失う)そのような技術リスクは取引所はとりたくないでしょう。

一方、リプレイ攻撃への防止策が行われていれば、コインの分離が可能なため、フォーク後は、BTUという別のコインとして独立に扱うことができると述べています。

ただしすべての取引所がBTU市場を立ち上げるわけではないので、BTUを扱わない取引所は、そのBTUを顧客に返却(引き出し)できるようにすることが肝要です。そのためにもコインが分離できなくてはいけません。

まとめると、取引所としては、分離するのは権利であるので、分離にとやかくいうことはないものの、分離するなら、リプレイ攻撃防止策を設けないと取り扱いができないということです。

ですので、取引所がフォークを防止したとか、拒否したとかは誤解の可能性が有り、今後状況次第でフォークが起こる可能性があります。今回の声明は、仮にフォークが起きた場合に、顧客の混乱防止上の観点から、技術上の取り扱いを明確にしたものと理解しています。

ただ、いまのところアンリミテッドがリプレイ攻撃防止策をつけるかどうかはわかりません。アンリミテッドの方針は、アルトコインではなく、ビットコインそのものをアップグレード(リプレイス)するという方針ですので、別のコインとして扱われることは心外であると思われます。

仮に、リプレイ攻撃防止がなされないままフォークが起きた場合、分離ができない以上、ビットコインの入出金自体が停止されることになろうかとおもいます。取引は止めるわけにはいかないので、取引所内勘定だけで取引は継続になるとは思います。

なお、最終的にどちらかのチェーンが消滅した場合においては、取引所は生き残ったコインをBTCとしてリストアップすることは否定していないように思います。

以上です。なお、私としては個人的な思いもありますが、当ブログおよび有料サロンでは、このテーマに関しては中立的な立場で客観的に事態を追っていきたいと思っています。(なお、ツイッターでは立場を表明してツイートしています)

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