ビットコインハードフォーク論争の近況についてまとめ

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ビットコインのハードフォークの論争がまだ続いてます。私はここのところ毎日徹夜で英語のツイートを追って状況把握に努めていますが、毎日のめまぐるしく状況が変わってきて、複雑怪奇です。

現時点(4/5)での状況をなるべく簡潔にまとめます。

Segwitをアクティベートさせたくない中国のマイナーと、現在とは別の開発チームによるビットコインのリプレイスを狙ったBitcoin Unlimitedが、ハードフォークを仕掛けているのはご存知のとおりです。

これに対して、マイナーでなくP2Pのノード(ネットワーク)や、ウォレットや取引所といったユーザー主導でSegwitを採用しようという動きがでてきました。これをUASF(ユーザーアクティベイテッドソフトフォーク)といいます。(解説記事)

これに対してマイナーは強く反発。UASF阻止するコードを書いた人に懸賞金をもうけるなど対立は激化します。

そんななか、Bitcoin Classicが6月1日に独自のハードフォークでスピンアウトするという計画がリークされる。リプレイプロテクションをつけるので、別コインとしてのスピンアウトになる。

これは、Classicのメンバーの一人のアイデアレベルのものが流出、総意ではないためすぐに取り消される。Bitcoin Classicの特徴はブロックサイズを8Mにするのと、ハッシュパワーについてはビットコインとマージマイニングを可能とすることで、現在のマイナーが同時にClassicも掘れるようにすることで、ハッシュパワーが少ないことを回避する。

一方、2Mハードフォーク+Segwitの妥協案が具体化します。これは、Segwitが95%のハッシュパワーを得てアクティベートすることを条件に、それがトリガーになって、ハードフォークが行われるといったようなプロセスが組み込まれるもの。

この方法であれば、マイナーは2MにしたければSegwitをアクティベートせざる得なく、またSegwitがアクティベートされればハードフォークも発動するので、この2つを表裏一体にしたもの。つまり、同時に実現させることによる妥協ということです。

技術的に理にかなった解決策ではないが、戦争状態よりはマシだとして「和解」「妥協」をして決着をはかりたいという動き。

これに対しては、Segwit支持派からは反応薄く、以前からもこのような提案は繰り返されている政治の産物とのことで、いまのところスルーの構え。

最新の動きは、つい数日前にメーリングリストに投げられたExtend Blockという新提案。これはソフトフォークでブロックサイズの制限を自由に設定できるようにするもの。さっそくマイナーや、BU支持者からも支持表明があったものの、内容としては従来のブロック拡大とはかなり違うコンセプトのもののようだ。

具体的には、ビットコインのブロックから、ほとんどのデータを別管理にして外だしする。Segwitが署名データ部分を外だしするものだったのに対して、取引データをほぼ全部外だしする。メインのブロックは事実上、「空(から)」になり、外だししたデータの方は自由に設計できるので柔軟性があるとのこと。

この提案に対しては、これはブロック拡大ではなく、サイドチェーンの作成に近いという意見がでている。つまり、メインのチェーンはサイドチェーンへのポインタみたいなものだけを記録するだけになるという。

とにかく、コア開発でないところから出た提案なら何でもいいとばかりに、このアイデアをJihanとRogerが支持。

また、Spoonnetというセーフ・ハードフォークの提案も出ていて、こちらは、開発者が議論として取り上げている模様。内容についてはフォローできておらず、理解が必要。どれも技術的にヘヴィな内容なので骨が折れます。

ということで、連日のようにさまざまな提案が出ている状況です。

選択肢は、Segwit、Unlimited、UASF、Classic(8M)、2M+Segwit、Extend Block、Spoonnetという感じだが、この中からはまだ飛び抜けて有力なものはなく、どれに転ぶか見えにくい状況が続いている。しばらく膠着状態が続くと思われるが、さらに新しい提案が出てくるかもしれず、状況は毎日注視が必要。

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