イーサリアムの衝撃-ビットコイン技術がもたらす社会基盤へのイノベーション

研究所レポート「ラズベリーパイによるビットコインフルノードの立て方」(23ページ)を配信しました。レポートへ

研究所レポート「仮想通貨交換業者に関する内閣府令(案)の公表について」」(24ページ)を配信しました。レポートへ

詳細日本語マニュアル付きTrezorの購入はコインギフトから

今回は、ビットコインよりもさらにあたらしい、Ethereum(イーサリアム)という技術について紹介しよう。

おそらく、イーサリアムについて書くのは日本でこれが始めてではないかと思う。

イーサリアムとは現在開発中のビットコイン型のプロトコルだ。ただし、これはお金ではない。ビットコインの分散ネットワークによる合意というシステムを、コントラクト(契約)に応用するための基盤である。

ビットコインの本質は、ある事実が正しいということを、中央の認証機関無しに、証明することができるということだ。

ビットコインの場合は、これをお金の残高と移動と捉え、あるIDからあるIDへのコインの移動を、中央の認証機関なしに証明している。

これをビザンチン将軍問題というのだが、このビザンチン将軍問題で証明する事項は、お金の移動だけでなくてもよい。

イーサリアムでは、スマートコントラクト(契約)を記述する。これは、いわゆる民事の契約を、コンピュータがわかるように記述しようというものだ。つまり、契約書、契約を、コンピュータのスクリプトにして、コンピュータが理解し、処理できるようにしようというものだ。

たとえばスマートコントラクトでは、誰が誰にいくらをかりて、いつ返す、担保はこれこれといったものから、複雑な権利のやりとりといったものまでを記述することができる。

さて、このスマートコントラクトと、ビットコインのもつブロックチェーンの認証の仕組みを組み合わせたら*どのような未来が考えられるだろうか?

例えば、ある人物が10ビットコインを借りて、1年後に返すという約束を作ったと考える。すると、これを、電子署名し、偽造できないかたちで、ブロックチェーン(ビットコインのデータベース)に書き込むことができる。その約束は、特別な認証機関なしに、ネットワーク参加者の全員がたちどころに認識することができ、そして、それを正しい・偽造されていないということを明らかにできる。

そして、スクリプト化されているので、期日がきたらコンピュータが自動的に執行するようにもできるし、エスクロー取引も簡単になる。これは、デリバティブの取引にも使える。デリバティブをスクリプトで定義し、エスクローをかませてネットワークに載せることもできる。そしてそのデリバティブ契約は自由に売買(所有権の移動)も可能だ。

このようなことができる基盤が、いまオープンソースで開発されている。それがイーサリアムというものだ。

Ether (イーサー、または、エーテル)

空間に満たされ、すべての場所に存在するものといういみのエーテル(英語読みはイーサー)を由来としている。

イーサリアムはブロックチェーンの合意システムをつかった、世界共通の電子契約の基盤を目指してつくられているプラットフォームだ。

イーサリアムでは、イーサリアムの取引として、コントラクトをトランザクションとしてブロードキャストし、イーサリアムの採掘者がこれを認証する。

こうすることで、ほぼゼロのコストで、特別な中央機関を要せず、デジタルで表現できるあらゆる権利や契約といったことが低コストで実現することができる。

このインパクトは想像を絶する。

たとえば、デジタルコンテンツは、かつてコピー問題に悩まされ続けてきた。完全なコピー防止は技術的には可能だが、著しくユーザーの利便性を下げる。

もし、イーサリアムのブロックチェーンにデジタルライツを記録すれば、完全なコピー防止と、所有権の移動を、利便性を下げることなく実現することができる。

例えば、あるプログラムを利用することができる認証キーがあたとする。これがないとプログラムを利用できないのだが、御存知の通り、そのキーはいくらでもコピーすることができるし、もしコピーを防止しようとしたら、そのキーを中央の機関で管理して、利用するPCを変える度に、登録したり削除したりが必要だ。

もしこのデジタル認証キーを、簡単に移動することができ、しかも、その移動は全員の目にあきらかで不正ができず、そしてコピーではなく、オリジナルのキーの移動であることがわかるとしたら、こうした認証キーの譲渡や売買、管理は驚くほど簡単になるだろう。

デジタルの音楽のコピー問題もこれで解決する。音楽を聞く際にキーを要求すればい。そのキーは、iTunesが管理するのではなく、ビットコイン的なネットワーク上で所有権を管理する。

この仕組でわたしがある曲を、別の人物に譲渡した場合、私はその曲をもう再生できない。再生できるのは譲り受けた人物だけだ。そしてその人物も曲のコピーができない。

この移動はコストゼロで、たちどころに行え、誰もが知るところで、偽造できない。他人に音楽を譲渡しようとしたとき、コピーではなくオリジナルを手渡せる。

他にも、私の想像力の範疇でかんがただけだが、次のような応用例がある。

・エクスロー取引 一定の条件が満たされない限り受け渡しが完了しないような取引が第三者の介在ナシにつくれる。

・デリバティブ 契約はデリバティブそのものだ。デリバティブをつくり、それを売買すうことができる。

・信託、預託 イーサリアム上で、信託を登記し、所有権を確定できる

・株券 ほふりを利用せず所有権の取引ができる。未上場会社にも応用できる。

・債権 同様に、社債、手形、小切手、第三者に譲渡可能なものを電子化して、このネットワークにのせることができる

・バーチャル会社 同様に、イーサリアム上で権利を定義することで、日本国や、他の国の法律にもどづかないような、組織をつくることができる

・ドメイン名 現在のような登録機関は不要になる。

・デジタルコンテンツ 音楽、電子書籍、いままでデジタルコンテンツは、コピー問題に悩まされてきたが、それが解決する

・あらゆる利用券、クーポンなど イーサリアム上で発行し管理することができる

・お金 もちろんイーサリアムをつかって独自のお金を発行し管理することも可能だ

・ストレージ 分散型P2Pストレージの提供、利用の契約をエセリウムで行う

・投票 ある種の投票も実現可能だ

・分散型組織 契約で自動的にまわる組織

これらのことは、特別の中央機関なしに、すべてイーサリアムのブロックチェーン上で管理できる。そして、利用者のコストはほぼ掛からない。

イーサリアムは仕様はかたまりつつあり、現在、リファレンスの実装をおこなっている、近日中になんらかの実装がされる見込みである。

なお、イーサリアムやビットコインについての、取材、および技術解説、記事執筆、講演など引き受けております。tyk@tetsuyuki.comまでご連絡ください。

(参考)http://www.ethereum.org/

※これらの概念は、ビットコインのブロックチェーン上で実現しようとしていたが、セキュリティ上のリスクから、別のブロックチェーンを使うことになった。 それがイーサリアムと理解するとよい。

イーサリアムや、ビットコインは、いずれも「ブロックチェーン」という基礎技術に基づいている。これを理解することが大事だ。

 

Donate with IndieSquare

このブログでは読者の皆さんとのつながりを作る実験としてトークンを配布しています。
※記事が役に立った場合は、寄付ボタンをクリックして、ぜひ寄付をお願いします。寄付額相当のDOUBLEHASHコイン(詳細説明)を送付いたします。
コインを受け取るには、IndieSquare Walletからお送りください。