The DAOハッキング事件、経緯と現在の状況、今後の対策についてのまとめ-パラレルワールドと世界への介入は正当化されるか?

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The DAOの事件を知ったのは、昨日子供を病院に連れて行っている時であった。あっという間にDAOの価格は、1/3になりパニックが起きた。

第二のMt.Gox事件がおきたか?

結局、いったん落ち着いたものの、この問題は、更に深い問題をイーサリアムに突きつけた。

経緯

まず、事の経緯を簡単に振り返ろう。

昨日、夕方頃、突然THE DAO上で不可思議なトランザクションが多発し、ETHが移動されていることが確認された。

その数、3.6百万ETH。これによってETHの価格も暴落したので、円に換算することはあまり意味が無いが、事件直前の17.50ドルの価値で、換算すると、65億円もの巨額なものになる。

この大量のETHは、THE DAOのコントラクトから、スプリット(分割)されて、子供のDAOに移された。THE DAOでは、スプリットとう機能があり、DAOの運営に賛成ではない時、自分で自分の資金を離脱させ、他のDAOを作ることができる。

通常このスプリットは、1回行えばその時点で処理は完結するが、今回の攻撃は、再帰呼び出しをさせることによって、何回もスプリットを処理させた。要するに、移動の依頼に対して、通常は1回移動すればそれで処理が完了するが、コントラクトのバグをつくことによって、何度でも移動依頼を繰り返すことができてしまったことになる。

その結果、3.6百万のETHが、別のDAOのアドレスに移動してしまった。

これは、そのアドレスと、ETHの残高である

https://etherchain.org/account/0x304a554a310c7e546dfe434669c62820b7d83490

Mt.Goxがトランザクションマリアビリティの問題で、一度おくったコインを再度送ってしまったことで攻撃を受けたというのにそっくりだ。(ただし、後日これは嘘で、内部犯行と判明)

現在の状態

現在、この3.6百万ETHは、どのような状態になっているのだろうか?犯人の懐にあるのだろうか?

正確に言うと、スプリットで作られた新しいDAOコントラクトのアドレスに保持されている。これは、犯人だけがコントロールできる新しいDAOである。つまり、盗まれたといって差し支えない。

ただし、犯人は即座にこのETHを使うことはできない。スプリットによって作られた新しいDAOは、27日後でないと機能しないという仕組みになっているからだ。

つまり、犯人はETHを使うために27日間待つ必要がある。

この27日間の間に、コミュニティは、何らかの対処を迫られる。

ソフトフォークとハードフォーク

現在提案されている、対応策は2段階に別れる。

まず、緊急の対応策として、当該DAOアドレスの凍結が提案された。

0x304a554a310c7e546dfe434669c62820b7d83490

このアドレスを使えなくしてしまおうというものだ。これは銀行の口座の凍結にあたる。犯罪者の資産を政府が凍結して差し押さえる、そういうイメージだ。

ブロック番号1,760,000以降において、当該アドレスからのトランザクションは、無効とするという、特殊な条件処理を盛り込んだEthereumのソフトウェア更新版が、即座にリリースされた。

この更新版を、イーサリアムの採掘者がすべて採用すれば、このアドレスは利用できなくなる。

ソフトウェアの変更によって、影響をうけるのは、このアドレスだけであり、他のアドレスや、他の送金などは巻き戻されたり、変更されることはない。

これをソフトフォークという。

ただし、この状態では、3.6百万ETHは犯人は使えなくなるが、同時に、もともとも所有者(the dao)も利用できなくなる。誰も使えないデッドロックされたお金になってしまうのだ。

ハードフォークというパラレルワールド

この3.6百万ETHを、元に戻すことは可能か?

普通に考えたら不可能である。しかし、たった一つだけ方法がある。それはブロックチェーンのハードフォークだ。

これはパラレルワードのようなものだ。あるチェーンでは3.6百万ETHの移動がおこなわれた。これが現実の世界。

パラレルワールドでは、3.6百万ETHは移動は行われなかった。そういうチェーンを作ってしまうのだ。

そうすると、2つのブロックチェーンが同時に存在することになる。3.6百万が移動されたチェーンと、移動されてないチェーン。

2つのパラレルワールドが同時に、存在することになる。そして、この2つの世界同士は3.6百万ETHについて矛盾を抱えており、お互いに行き来することはもはやできない。世界は2つに分裂し、パラレルに存在しつづけることになる。これがハードフォークと呼ばれるものだ。

現在コミュニティ内では、ハードフォークの提案もなされている。つまり、3.6百万ETHは移動が行われなかったパラレルの世界を作り出し、みんなにそちらの世界に今後は住んでもらうように、呼びかける。

当然、以前の世界に住みたい人もいるだろうし、以前の世界は存在し続けるのだが、利用者がゼロになれば、金銭的な価値はなくなるだろう。

誰がコントロールするのか?

もともとTheDAOは中央がコントロールしない分散型のファンドという仕組みだった。

しかしこのバグによって、プラットフォーム側であるイーサリアムが、ハードフォークを提案するという、由々しき事態になってしまっている。

TheDAOは、規模は大きいが、イーサリアムの基盤を利用するアプリケーションの一つに過ぎない。一つのアプリケーションのバグの救済を、基盤がパラレルワールドに移行することで解決する。

Too Big Too Fail

暗号通貨の世界でも、このようなことが行われるのだろうか?

分散型の暗号通貨は、こうした恣意的な運営が行われないということが前提であった。問題がある犯罪行為とはいえ、これをなかったことにするような「世界への検閲・介入」は許されるのだろうか?人々がそれを望んだとしても。これは分散型暗号通貨における大きな争点だ。

犯罪を起こした人物を、その人が生まれたときまで遡って、その人物が生まれなかったパラレルワールドを作り出す。

たとえば、ヒトラーが生まれなかったという世界があったとして、そこでは先の大戦は起きなかったのだろうか。その世界は今より良い世界になっているのだろうか?そうではないのだろうか?

コインを取り戻すためにハードフォークがなされるか否かは今後のコミュニティの議論の行く末次第ではあるが、どちらを選択しても、今後の運営には大きな禍根を残すだろう。

いずれにしてもタイムリミットは27日間である。

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