ビットコインゴールドについて

レポート「アルトコイン図鑑」では30種類以上のコインの概要と見通しを解説(詳しく)

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ビットコインゴールドが、今朝、ブロックナンバー491406を最後にビットコインからフォークした。

491406時点をもってビットコインを保有しているひとに対しては、自動的にビットコインゴールドが付与される。

さて、ビットコインゴールドだが、「ビットコインが二度目の分裂」という表現を使っているメディアが多いが、これは誤解を生むだろう。

ビットコインキャッシュ(BCH)の場合は、思想や将来設計の違いから、分裂をしたわけだが、ビットコインゴールドの場合なにか争点があったわけではなく、単にアルトコインが新しく作られただけである。

ビットコインキャッシュのフォークとの最大の違いは、チェーンのマイニングのスタートにある。ビットコインキャッシュの場合、フォークした直後からコインが生まれ送金ができるようになっており、ブロックも採掘された。文字通り、分裂したのである。

しかし、ビットコインゴールドの場合、分岐のブロックは過ぎたものの、まだコインの送金もマイニングも行われていない。なにしろまだソフトウェアが完成していないのだ。誰もビットコインゴールドのソフトウェアを実行しているひともいなければ、誰一人としてマイナーも存在していない。

実際にビットコインゴールドのネットワークが稼働するのは、ソフトウェアの完成後(11月初旬から中頃を想定)である。ビットコインゴールドはそこであらためて、ブロック491407からマイニングが始まる。そこまでは、何も起きないし、コインも存在しない。

そういうローンチの仕方を考えると、ビットコインゴールドは、ビットコインの分裂と捉えるのには無理がある。単に、ある時点でのビットコイン保有者にたいして、同数のコインを配布してスタートする単なるアルトコインだといえる。

このことは、プレマインが含まれることでも明らかだ。ビットコインゴールドは、10万コインが(電気代がほぼ掛かることなく)マイニングされプロジェクトの運営費として当てられる。無償で発行した10万コインが追加されるということになる。

ビットコインの保有者に対してコインを配るというのは、ローンチのマーケティングとしては有効だ。ビットコインは保有者が多く、タダでコインが配布されるとなれば、多くの人が参加して、多くのひとに行き渡る。それによりネットワーク効果がうまれコインの価値が上がりやすい。

Byteballや、Stellarなどがビットコインホルダーに対してコインを配布したのは記憶にあたらしい。これらのコインの場合、申請をしないともらえなかったが、ビットコインゴールドの場合、ビットコイン保有者に対して強制配布という形をとっている、と考えるのがわかりやすいだろう。

過去には実はビットコインホルダー全員に配布したアルトコインというのが存在する。CLAM(ハマグリ)というもので、マイナーなコインであるが、ある時点でのビットコイン保有者にたいして同数を配布した。つまり、ビットコインゴールドは、CLAMの再来である。

CLAMは現在、時価総額10億円程度の、弱小コインとなっていて、成功していない。

しかしながら、ビットコインゴールドは、このままいくと、ビットコインの5%くらいの時価総額になりそうであり、いきなり5000億円のアルトコインが誕生することになる。アルトコインの立ち上げとしては、破格の価値がつくことになる。その上、プレマイン分の10万コインを売却すれば、開発者はミリオネアになる。本物の錬金術である。

アルトコインの立ち上げにおいて、表現上ビットコインからのハードフォークという立て付けは今後も乱発される可能性がある。

そのような表現をつかっていれば、ビットコインホルダーは権利について敏感になるだろうし、取引所も配布や、取引対応などをせざる得ないからだ。

このハマグリの養殖ともいわれるようなやり方と、コミュニティの対立による分裂は分けて考えるべきだ。11月に予定されているSegwit2xによるフォークは、深刻なコミュニティの分裂であり、ハマグリがもらえるというような優しいものではない。

 

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