ライトニングネットワークの衝撃~ビットコインによる本当のマイクロペイメントがもたらすもの

レポート「アルトコイン図鑑」では30種類以上のコインの概要と見通しを解説(詳しく)

ライトニングネットワークが、注目を浴びてきている。

日本語では、ほぼ解説されたものがゼロなので、フォローしておきたいと思う。

ライトニングネットワークとは、少額支払いを可能にし、手数料を削減し、ビットコインをスケールさせるためのソリューションである。

ビットコインでは、少額支払いは無理で、決済に10分かかり、手数料が高いため、実用性がないという批判が多い。

ライトニングネットワークでは、

・ミリ秒単位で何千のトランザクションが可能

・採掘コストは、チャネル作成時と、チャネルクローズ時のみ

・1satoshi単位(0.0001円)といった、超少額支払いが可能

ここまではペイメントチャネルと同じだが、多段階の支払いができるようになったのがライトニングネットワークだ。支払いチャネルのネットワーク化である。

Lightning-Network

http://blockchainstuff.eu/the-bitcoin-lightning-network/

A→Bが支払いチャネルを作成していて、B→CもC→Dも同様に作成している場合、A→Dへの支払いをBとC経由で行うことができる。

支払いネットワークは、中継してくれる人を経由して、最終目的地までビットコインを届ける。

あたかもAは、Dに直接支払っているような形で支払いができる。しかも数ミリ秒で、1サトシの支払いを何千回やっても手数料はかからない。

こうして支払いチャネルがネットワーク化されて、インターネットのようになったのが、ライトニングネットワークだ。

Networks

ここで重要なのは、中継地点のBやCを信頼する必要があるかどうかだが、ライトニングネットワークの場合、BやCを信頼する必要は一切ない。バックれたり、ネットワークに接続できなくなっても、資金は宙にういたりしない。

ネットワークに信頼を要する点は一切なく、ビットコインのように、トラストレスで、中継支払が可能である。

どうしてこんな魔法のようなことが可能なのかは説明すると難しいが、それが暗号技術の凄いところである。

ライトニングネットワークは、レイヤー2ソリューションといわれる。つまり、現在のビットコインのブロックチェーンの上に、一枚別の支払い層を噛ますみたいな感じになっているからだ。

増え続けるビットコインのトランザクションをすべて現在のブロックチェーンに書き込むことは幾らブロックサイズを増やしても不可能で、何らかのオフブロックチェーン処理が必要になる。

無題

IPプロトコルが、IPアドレスの不足に対して、プライベートアドレスというものを発明して、不足を乗り切ったのと似ている。直接ブロックチェーンに書き込む分を最小限にして、別のレイヤーで処理する部分を増やす。

先日の、サトシラウンドテーブルにおいては、ブロックサイズを増やすことは必要であるが、何らかのレイヤー2ソリューションも必要ということで意見が一致した[1]。

ライトニングネットワークの提案は古いが、実現にはプロトコル上の問題点があった。トランザクション展性と、相対的なタイムロックトランザクションの作成で、これらの機能がビットコイン本体で実現しないと、ライトニングネットワークも実現できない[2]。そのため夢の技術といわれた。

今回のビットコインプロトコルの拡張により、この2つの問題が解決した。Segwitはトランザクション展性を最終的かつ完全に解決し、相対タイムロックをする新しいOPコード(OP CSV)が導入された。

これにより、ライトニングネットワークの開発が進んでおり、それが注目を集めている理由だ。

ライトニングネットワークは、まったく新しい支払いの地平線を開く。もっとも象徴的なのは、マシンtoマシンのマイクロペイメントだ。21 Incが開拓しているこの市場では、APIの使用1回につき、0.01 セントといった課金が可能になる[3]。

一方で、ライトニングネットワークには、建設的な批判も出ている。まだルーティングのプロトコルが未開発であること、ホットウォレットでないと使えないこと、ハブの巨大化などである。

さらに詳しいことは、ビットコイン&ブロックチェーン研究所の有料会員コーナーでレポートを提出しているので、そちらを参照してほしい。

[1]逆もまた真で、ライトニングネットワークが幾ら普及しても、チャネルの開閉だけで現状のブロックはいっぱいになる。いずれにしてもブロックサイズのハード拡張は必要である。

[2]正確には実現できるが、非常に実装がややこしくなる

[3]https://medium.com/@21/true-micropayments-with-bitcoin-e64fec23ffd8#.p8zgvokqr

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