レポート「アルトコイン図鑑」では30種類以上のコインを解説
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DAOのプロポーザルに対する投票がなかなか進んでいない。現在DAOにおける最大の障害になっている。
たとえば、これはセキュリティ懸念がある部分を改修するまで新規案件を停止しようというプロポーザル。現在、7%の投票率だ。投票が有効になるには20%が必要である。期限はあと3日。20%に達するのだろうか。
DAOのスマートコントラクトは、20%という決まりになっているので、このルールを変える提案ですら、20%の投票がないと変更できない。これを勝手に変えることのできるスーパーユーザーはいないのだ。すべてはコードにかかれているように動く。
これがDAOの画期的なところだが、仮に20%に達することができないと、何もできないままプロジェクトが進まなくなってしまう可能性がある。
そのため、投票率を上げることが不可欠だ。
問題点
私も投票に参加してみようと思ったがハードルは高い。いくつか問題点があるが、こんなところではないだろうか。
・mistブラウザの動作が不安定、重い、ブロックチェーンの同期がすすまない(ライトウェイトのクライアントすらない時点で、一般のホルダーが不安定な動作のmistをつかってフルブロックチェーンを動かすのは厳しい物がある。)
・プロポーザルの数がおおすぎて、なにがどうなのか、見ているひまがない
・投票するために、DAOをホールドしているウォレットを、ホットウォレットにしないといけない。(大口になればなるほど、コールドで保管しているはず)
・逆に小口は、誰かが投票してくれるだろうと考える。私も少数しかもってないので、ハードルを乗り越えてまで投票するインセンティブに欠ける。
・投票に参加すると、そのトークンは投票締め切り日まで売買(送金)できなくなる。(これは、投機目的が主なひとにとっては手痛い)
・取引所(にプールされている分)がそれなりの持ち分をもってしまっている。(3-4%と思われるが、もっとある可能性)
システムの問題と、インセンティブの問題などに分かれるが、その両方で解決すべき課題があるように思える。
これについては幾つか改善点が出ているが、私も提案してみたい。
・ウォレットの開発
これについては、ソフトウェアのデベロップを待つしか無い。すでに簡単に投票ができるものが提案されつつあり、1-2ヶ月のうちに状況はある程度改善するだろう。ライトウェイトクライアントの登場もまたれる。
また、投票のハードルを20%から10%や5%程度に下げることも考えられるが、さすがに全体の5%の票で可決できるとなると、民意によって運営されているとは言い切れなくなってしまう気もするし、セキュリティ上も危なそうだ。
・投票専用アドレスやハードウェアウォレット対応
大口をコールドで運用しているひとは、そのアドレスをつかって投票しないといけないというのはセキュリティ面からもやりたくない。
なので、投票専用アドレスみたいなものを作って、コインの実際の保有アドレスとは別に運用できると便利だ。
もしくは、TrezorなどのハードウェアウォレットがDAOに対応するといっているので、ここから投票ができれば、セキュリティ不安に対する答えになるだおう。
・取引所
にプールされている分は、これは取引所を通じて代理投票が出来るようになるのが望ましい。ただ、取引所のアドレスは分割してないとおもうので、一つアドレスで、自分の持分のうち○○だけYesで○○はNoといった投票ができるようにしないといけない。
・代議員
一番簡単なのは、代議員を立てて、間接選挙にすることだろう。誰かに投票権限を委託できるという仕組みだ。実際は、キュレーターが代議員になって、それに委託することになろう。しかし、これでは、DAOの分権的な思想と真っ向から反することになる。これを採用するのは、DAOの実験としては負けであろう。
・レピュテーションによる代理投票
単純な代議員の仕組みは問題があるが、レピュテーションによる代理投票を提案している人もいる。つまり、コミュニティ内で活動が活発だったり、多くのいいね!のようなものを集めているリーダーがいる場合(どのようにそれを評価するのかは不明)、その人が、一定の代理権を持つことが出来るというものだ。
ただの代理システムよりも、代議員のインセンティブが働く仕組みで、実社会でも応用できれば、画期的な仕組みだろう。
・インセンティブ
経済的なインセンティブを導入することも考えられる。つまり、投票に参加しなかった人は、DAOが減少してしまい、投票に参加したひとに再配分されるといった仕組みだ。
これは、Augurでそのようなモデルが設計されている。Augurも賭け事の結果について、ユーザー投票をするため、このようなインセンティブを用いて、投票をしてもらう仕組みを考えている。参考になるだろう。
・トークンを動かせるように
また、投票に参加すると、トークンが動かせなくなるのは辛い。価格が上がと考えられる投票がある場合、他人の投票でそれを成立させて、価格が上がったところで売り抜けるという戦略が有利になる。
このため、トークンは動かせるようにして、二重投票を事後的に排除するといった事が必要かもしれない。
いずれにしても20%を超えなくては
いずれにしても、こうした改善点を含んだコードを書いて、それをデプロイするにも、20%の投票がないと成立しない。
改善するにも、民意が必要なのだ。
日本国憲法のように、誰も手を付けられないまま、スタックしてしまうのは避けたい。
とりあえず20%の投票を成立させるためには、ウォレットなどの機能面の改善がまたれる。短期的にはこれにより20%を超えることを期待したい。
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