レポート「ビットコインキャッシュの取り出し方&送金方法」を配信。画面付きで丁寧に解説
レポート「アルトコイン図鑑」では30種類以上のコインの概要と見通しを解説レポート内容へ
というニュースが朝から話題になっている。当方にも記者から電話があったが取れなかった。なので、ブログでコメントしておこう。
まず、最初に言っておきたいのは、これは、今回法律で制定された仮想通貨の定義にあてはまっていないので、法律の言う仮想通貨ではない。
コイン面での特徴
では何かというと、端的にいえば、ユーザー間移動が可能で、払い戻しができる、スイカである。
記事によれば、
MUFGコインは、利用者が、同行の口座にある預金を「1コイン=1円」の比率でコインに交換し、
とあり、これが「チャージ」に相当する。ようするに、銀行預金を、MUFGのポイントに交換(購入)できるということ。
「Suica」(スイカ)など、前払い式の電子マネーと似ているが、利用者同士がネットを通じて「送金」できる点などが異なる。
こうしたポイントは、第三者に譲渡は難しかったが、これを可能にするようだ。また、最終的に、
コインを取り込んだスマホをかざせば現金を引き出せる新型ATMの開発も進めており、2018年春から順次、配備する予定。
ということで、換金可能ということ。
つまりどういうことかというと、図のように、
スイカがより便利になって、
・ユーザー間の移動
・払い戻し(換金)可能
となったということだろう。これが、MUFGコインのコインとしての実態とおもわれる。
しかし、これを仮想通貨と呼ぶのはよろしくない。払い戻し可能なポイントシステムではないだろうか?
Line Payやドコモ口座と同じである。
スマホで利用可能
ユーザー間の移動、払い戻しができる以外に、新規の点はあるのだろうか?
記事によれば、専用アプリで利用可能で、別途MUFGに銀行口座を開く必要がない言う点が強調されている。
確かに、銀行口座を開かなくても、スマホアプリをダウンロードして、個人情報の登録をすれば良いということならば、いくらかはハードルは下がるということだろう。
チャージと、払戻の部分だけに、銀行口座の保有が必要となろう。
とはいっても、スマホアプリ利用の際には、やはり個人情報の登録は必須となってくるだろう。窓口にいって印鑑を出さないだけで、実質は、
・MUFGコインスマホ口座
を開設するという概念に近い
ブロックチェーンの利用
MUFGコインは、裏側の仕組みとして、ブロックチェーンを利用しているという。もともと、ブロックチェーンの行内実験として始まったのが原点とのこと。
仮想通貨の「ビットコイン」などにも使われている取引記録の新技術「ブロックチェーン」を活用。取引を管理する大型コンピューターが不要になり、システム運営のコストが大幅に抑えられる。
では、どのようにブロックチェーンを利用するのだろうか。パブリックに公開するのだろうか?それともプライベートチェーンなのだろうか?
どのようなアルゴリズムなのだろうか?マイニングはあるのか?秘密鍵は誰が持つのか?
といった疑問がコミュニティ内からだされているが、おそらく、ブロックチェーンの公開範囲は極めて限定的だろう。つまり、専用アプリからのアクセスにとどまると予測する。
これを模式したのが下記の図だ。
本件の場合は、スマホアプリに、IDとパスワードを設定して、MUFGコインのシステムにログインして使うことになるだろう。
すくなくとも、銀行のユーザーに問題なく利用してもらえるように、ユーザーが秘密鍵やアドレスを管理するといいった仕様は考えづらいだろう。
ユーザーからブロックチェーン部分が見えることはなさそうだ。
銀行のビジネスとIT戦略
銀行のビジネス戦略的には、これは仮想通貨というより、フィンテックで、Linepayなどへの対抗策といえそうだ。
またIT戦略的には、これはブロックチェーンの実証実験から始まったものだろう。行内のホントのシステムをブロックチェーンで置き換えるにはまだハードルが高いので、まずはポイントという別のシステムに切り出して、その範囲でブロックチェーンを使えば、本体には影響が少ない。新しい仕組みの導入方法としては賢明だ。
現時点ではかなり限定的な仕組と想像するが、ブロックチェーンへのアクセス許可をサードパーティーに与えてアプリが増えたり、MUFGコインによるスマートコントラクトが組めるというような事になれば、可能性は広がるだろう。そこまで踏み込めるか、それとも専用アプリによるガラパゴスシステムか。
MUFGコインのインパクトは、そこの広がりがどうなるかにかかっているだろう。
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