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仮想通貨の価値を深く考えたいひとのための4つの命題

レポート「アルトコイン図鑑」では30種類以上のコインを解説

レポート「ビットコインの情報源決定版(26ページ)」を配信しました。レポート内容へ

2年ほどに渡り議論していたいくつかの命題がある。いずれも、仮想通貨やお金の価値とは何かということに深く結びついた話で、個人的なテーマであるが、具体的なコインと結びついたために命題の本質が伝わりにくくなっている。そこで、再度、簡潔に論点をまとめておこうと思う。こうしたことを疑問に思うのは私だけかもしれないが、議論したり研究するのは悪くないと思う。

【命題1】フォークコインの価値

技術的改善のないコピペのフォークコインを、市場や用途をフォーカスしたり、マーケティングを工夫するなどすることで、普及・価値づけは可能か?

参考コイン:GAME、Getgems、potcoin

私の仮説はNoです。かつて私はGetgemsというメッセンジャー専用コインを応援しましたが、失敗におわりました。これを通じて、市場や用途を区切ることで仮想通貨は価値を生まないと結論しています。通貨の本質を考えれば自明で、用途や場所を問わないもののほうがより価値を生むからです。たとえばヨドバシポイントなどより現金のほうが価値が高いです。それは現金のほうがより汎用性があるからです。仮想通貨においても同様です。ポイントのように何かの特典として付与するなどの別の仕掛けが必要です。

【命題2】無から有は生まれるか?

POSやBFTなどを合意アルゴリズムとして採用した通貨に価値はあるか?

参考コイン:POSコイン全般

私の仮説はNoです。コインといっても、無から有はうまれず、かならずなにかの価値との等価交換によって生まれることが必要と考えます。PoWであれば、電気という現実のリソースをバーンすることにより等価交換で発行されると考えることができます。POSやBFTのコインでは、等価交換ではなく無から有がうまれるため、もしそれに価格がついて売買されていれば、その価格はファンダメンタルがないものであると結論づけます。(つまりペーパーマネーと同様であり、ペーパーマネーの再発明ではないかということです)

なお、これらのコインでもたとえば、コインを支払うとディスクスペースが借りられたり、分散処理で計算をしてくれたりといったサービスが得られるものは、サービスとの等価交換になっているので、そのサービスの分の価値があると考えられます。

ゴールドの価値については、興味深い説が有ります。ゴールドの価値は装飾価値ではなく、富を量を疑いなく図る機能にあるとする説です。ゴールドは他の金属から合成もできず、採掘以外の方法で手に入れることはできません。また採掘は容易ではなくコストがかかり、そのコストをごまかすことはできません。またゴールドは比重と重さを測ればその量がどれだけあるかが誰の目にも明白に証明できます。つまりゴールドの量は、それを採掘できる富の存在を誇示するものであるという説です。

【命題3】価値とはつきつめるとなにか

中間通貨にファンダメンタルがあるか、価値は生じるか?

参考コイン:Ripple、またはFiat

私の仮説はNoです。中間通貨はある通貨とある通貨を送金媒介するために使われるため、買ったらすぐに売られ、最終的な保有者がいません。また価格はいくらでもよく、その価格での流動性さえあればよい為。この性質から、価値の交換媒体および尺度としては機能しますが、価値の保存としての機能がありません。日本円は、日銀ネットや全銀システム上で記録され交換されますが、お金としての価値はそれらのシステムが生み出しているわけではないのと同様です。

また、中間通貨システムは効率化のためにBFT的なアルゴリズムを採用し、プレマインで無から発行されることが多いです。命題2で議論したようにこれにファンダメンタルが見当たりません。

また、Fiatは、プレマインで無から発行されるなど、いくつかの共通点がありますが、国家が強制力をもって利用を強いているなどの相違点もあります。共通点、相違点などを議論すると、議論が深まるでしょう。

【命題4】ディストリビューション問題

運営者の大量プレマイン通貨、ディストリビューションに問題のある通貨をどう捉えるか?またICOというデュストリビューション方式は肯定できるか?

参考コイン:Gnosis、Ripple、他

運営が大量保有するような通貨でも、最終的に利益がでればよいし、プロジェクトがうまくいけば結果オーライという考えもあります。結果としてはそれでオーライですが、事前に投資的確度合いを判断するというのがアナリシスの目的ですから、ディストリビューションに問題を抱えるコインは、投資不的確と判断すべきでしょう。結果オーライであれば、アナリシスやデューデリは不要になってしまいます。

またICOはディストリビューションとしては、最初にすべてのコインを売り切る限りにおいては、有りという考えです。その販売時点で、何らかの価値と等価交換されるので無からの発行は避けられますし、適切な開発費の範囲の調達であれば通貨発行益も生じにくいとおもいます。(現時点での考えで変わるかもしれません)

まとめ

これらの命題はまだ結論がでたものではありません。あくまで私の考えです。また私と意見を異にする意見も多く存在します。しかしながら、これらの問題を議論すると紛糾するということからして、これは面白いテーマであり、暗号通貨や、価値の本質という面で、本質をえぐっている命題なのではないかと思っています。

コインの市場価格について

また、こうした議論と、コインの短期的な市場価格の上下はほとんど相関しないと思います。現在の市場の参加者はそこまで考えているわけではないからです。ただ、10年20年といった単位でみると、私の仮説とコインの価値は近づいていくように思います。いずれにしても、歴史が証明することになるので、議論と成熟と歴史の結果を待ちましょう。

【留意】ここで参考コインにあげたコインは、上記の命題を議論する上での実例として、人気のあるコインのほうが議論しやすいということであり、それ以上の意図はございません。

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