ビットコインの技術上の欠陥について

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昨日たまたま下記のようなツイートを見た。このツイートは、ビットコインに対する代表的な批判をコンパクトにまとめていると思ってリツイートした。

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今回は、このような批判に対しての考えと、現状を書こうと思う。(なお、上記のツイートは、代表的な批判の論点を出してくれているという意味で引用したのであって、この方に対する攻撃ではなく他意はないので誤解しないでほしい)

眠っている100万BTC

これは、サトシの保有コインのことだと思われる。サトシは約100BTCを初期に採掘したまま保有している。そのコインは2010年以降動かされた形跡もなく眠っている。

このコインはよく問題だと言われる。問題とは、富の偏りや、もし市場でこれが売られたら暴落するといったことが根拠になっている。

ただ、私はこれは問題とは思わないし、コミュニティ内でもそれほど問題視されていないようだ。

論拠は2つ。

まず100万BTCだが、現在の発行量に対して6.1%、全コイン(2100万枚)に対しては、4.7%の量に当たる。この量は、昨今のICOなどを見る限り、開発者などの大口の保有分としてはさほど多い量ではないと思われる。10%が初期投資家に配分されたり、まだ大半のコインを開発者が持っているコインなども多い。比較論になるが、4-6%という数字に大きな議論になる要素はみあたらない。

富の偏りであるが、ビットコインは金利がつかない。POSでもないのでコイン保有者に新規コインが発行されるわけでもない。なので、100万コインは上限であってこれ以上自動的に増えるわけではない。このコインが売り出しに回ると、大きな価格の下落があるかもしれないが一時的なものであり、むしろその後は多くの人にコインが分散するため、むしろ良いということに評価されるだろう。

DASHでは初期のマイニング問題視されていたり、Zcashは投資家に10%の取り分があるなど、またプレマイニングが発覚して終了したコインなどもある。公平なディストリビューションの問題は、常に論点にあがるものである。

スケーラビリティ

ビットコインのスケーラビリティは問題である。オフチェーンによるレイヤー2が開発されているが、まだ実用化されていない。

他のコインは、ビットコインよりスケーラビリティがあると考えられているが、よく注意して評価しなくてはいけない。2つの視点がある。

ひとつ目は、まだそれらのコインがスケーラビリティが問題になるほど成長していないという点だ。より複雑なトランザクションを行うイーサリアムや、暗号形式により必然的にデータ量が多くなる匿名系のコインなどは、スケーラビリティの観点からは原理的には不利である。これらのコインがビットコイン並の利用量に達した時、ビットコインよりも多くのデータを処理しなくては行けないことは明白である。これらのコインもスケーラビリティに対する対策は考えられているが、まだそれが問題になるほど成長していない。ビットコインは、先行者として問題が顕在してきていると捉えれば、スケーラビリティはどのコインにも避けられない道だと思われる。

ふたつ目は、セキュリティとのトレードオフである。ビットコインのスケーラビリティはブロックサイズを意図的に制限していることにあるという意見もあり、たとえば巨大なブロックサイズを実現すれば、意図的な上限はなくなる。実際イーサリアムなどはブロックサイズの上限はない。また、ブロックタイムを短くすればするほどスケーラビリティも上がる。10分間隔より2分間隔のほうがさばける量は増える。一見スケーラビリティは解決するように思えるが、これはセキュリティとのトレードオフであることは忘れられがちだ。ブロックサイズが大きくなれば、伝播に時間がかかりアタックやフォークの機会が増える。ブロックタイムが短くなれば孤立ブロックが増える。サトシは、これらのトレードオフを考慮にいれて10分という時間を妥当なものとして設定したようだ。10分の妥当性については議論を別にするが、セキュリティとのトレードオフがあることは大事な議論である。

つまり、10分や1Mというのは仕様であって、欠陥ということではないと捉えている。

レイヤー2ソリューションは、これらのトレードオフを少なくして、スケールさせる別の方法である。レイヤー2の実現はまだ時間がかかるが、ビットコインが先にこの課題に挑戦しているため、先行しているとも言える。

またスケーラビリティへの方向性の違いから、コミュニティが分裂している。この分裂の溝は深く、一時期はBitcoin Unlimitedによるハードフォークが実現する可能性もあった。現在は小休止しているが、今後も繰り返し出てくる可能性がある。ただこの分裂はスケーラビリティの議論をしていると考えられていたが、どうもその背景には中国のマイナーのASICBOOSTの問題が根本ではないかという見方もでており、行方は流動的である。

コインの方向性の違いというのは、コインの時価総額が上がり、ステークホルダーが増えるにつれて、問題が表面化してくる。イーサリアムは早期に2つに分裂してしまったが、他のコインも大きくなった時に、いままで問題にならなかった点が対立の原因になることもある。

中国へのマイニングの集中

マイニングは中国に集中しており、さらにマイニングプールはごく一部に集中している。BITMAINとANTPOOLは、ハッシュパワーの15%ー20%程度を 持っている。また最近発覚したことだが、BITMAINのマイニングマシンにはバックドアがあり、これをつかれるとビットコインのマイニングの50%程度のパワーが瞬時にオフになる可能性もあるという。

ビットコインコミュニティ内でもこれらの集中は批判されており、最大の問題であると認識されている。

容易にASICが作れてしまう現状のアルゴリズムや、プールマイニングができる仕組みなどが、根本の問題点にあるだろう。これに対しての、いまのところの有効な解決策はない。真摯に批判をうけとめ、解決策を探るべきであろう。

とりわけASICBOOSTをめぐる動きは、一部のマイナーに一方的に有利な不公平な状況を作り出すだけではなく、Segwit稼働防止のインセンティブになっており、コミュニティを分断させる原因になっていると考えられている。まだ、どのような対応をとるのかは合意されていないが、解決が必要だろう。

一方マイニングの集中化と、POWへの批判は区別して考えるほうがよい。POWはリソースの浪費などの批判も多いが、メリットもある。POSはリソースを消費しないが、利子のように大口ホルダーのコインがふえるため富の偏りを生むとも批判され、それぞれにメリット・デメリットがある。POWそのものが欠陥であるという論点は慎重に比較検討すべきだ。

まとめ

ビットコインは先行しているだけに、あらゆる批判や問題点が噴出してると思われる。こうした批判の多くはなんらかの論拠が有り、現実におきている問題である。こうした問題点をコミュニティは解決していかなくてはいけないものの、Segwitをめぐる政治的な問題から、上手く合意が得られていない状態である。また、楽観視していたマイニングの問題は、コミュニティが考えているより深刻であったことが表面化しているが、根本的な解決法がない。

問題は多いが、議論や開発が活発でプレイヤーも豊富なのがビットコインの特徴であり、時間はかかるがひとつひとつ地道に解決していくことが必要であろうし、私も微力ながら手助けができるところでコミュニティに貢献したいと考えている。ビットコインは誰かの通貨ではなく、みんなの通貨であるし、私の通貨でもあるからだ。力を合わせて前に進もう。

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