ハッシュウォーの攻撃手法と、その結果に関する考察(敵対的HFは必ず2つのコインに分岐する)

レポート「アルトコイン図鑑」では30種類以上のコインの概要と見通しを解説(詳しく)

Screenshot from 2018-11-11 04-38-42

BCHのハッシュウォーの行く末を予想します。

前回検証したように、チェーン自体はHFを起こして2つに割れると思うので、ハッシュウォーというのは、なんらかの手段で相手のチェーンを攻撃するといったことを指すと思われます。

いちばん単純なのは自身のハッシュパワーをつかって、相手チェーンを空のブロックで掘ること。そうすると相手チェーンでは送金が処理されなくなります。これが一番シンプルな妨害策です。

さて、ほかにも攻撃のベクトルが考えられます。

SVはブロックサイズを128MBにあげました。ここにヒントがあるようにおもえます。

昨日になって突然BCHでは大量のスパムトランザクションが流れました。32MBのブロックが4つ掘られたことが確認されており、また一部のノードはこの巨大ブロックを処理できずクラッシュしたようです。

さて、SV側がフォーク後に、さらなるスパムを意図的に流したらどうなるでしょうか。つまり、128MBのブロックに相当する大量のスパムTXを流すのです。

この場合、リプレイプロテクションがありませんから、ABC側のノードはすべてのスパムTXを受け取ることになります。

ABCのノードは、どうなるかというと:

  • 多くのノードが大量スパムでクラッシュする
  • クラッシュしなかったノードは生き残るがブロックサイズが32MBなので、どんどんメモリプールに追加のTXがたまっていく
  • 処理できずに最後はクラッシュ

ということになり、ABCのノードが壊滅します。

これに合わせてて空ブロック堀りによる妨害を加えることで、ABCのチェーンを完全を機能停止に追い込むことができるでしょう。

(大量のスパムTXを低コストで流せてしまうビックブロックは諸刃の剣にもなるようです)

さて、当然ですが、SV側も同じだけのTXを受け取ります。SV側は機能停止しないのでしょうか? 128MBのブロックを処理できるのでしょうか?

ここがカラクリなのだと思います。つまり、SV側は事前にビックブロックテストをして、128MBに耐えられる高性能ノードをいくつか配置しているのでしょう。つまり、128MBという数字はなんとなく出てきたものではなく、自分たちが処理できる最大の数字を選んだのかもしれません。

だとしたら、すごい話です。

もしこのようなことが起きた場合のその後ですが、ABC陣営は、緊急HFを行うでしょう。

内容は、

  • リプレイプロテクションの導入
  • SVノードを認識し、接続を拒否するコード

これを含んだソフトウェアを緊急リリースすることになるでしょう。

そして、それをもってコインは完全に2つに分かれます。

SVにとっては、これは勝利と言えるのでしょうか。

  • ABCがリプレイプロテクションをつけるということは、既存のBCHモバイルウォレットなどのライトクライアントは、SVのネットワークを表示することになるだろう。(当然、これはさらなる混乱を呼びます)
  • ただし、取引所のティッカーではBCHは、ABCのことを意味したままであろう。SVには何らかの新ティッカーが割り当てられる。

これを勝利とするかは、定義次第です。またそれぞれのコインの価格がどうなるかは、予想もつきません。

以上が、考えられる極端な攻撃シナリオです。

ハッシュウォーは、どちらかのコインが消滅して終わる、チェーンは再びひとつになる、ということが言われています。これは本当でしょうか?

私は疑問に思います。むしろ、ハッシュウォーの防御として、リプレイプロテクションの付与をせざる得なくなり、2つのコインに分離することが早まるでしょう。

結局のところ、

  • あらゆる敵対的なハードフォークは、最終的に2つのコインに分裂する

ということが、皮肉にも裏付けられる結果となるとおもいます。

相手のチェーンを完全につぶすということは、出来ないのです。またはそれ以前に、完全分離されてしまいます。それほどまでにブロックチェーンはしぶとく、堅牢な仕組みだともいえましょう。

以上があり得る極端なシナリオの予測です。実際はこんなに極端にはならないとおもいます。思考実験だとおもってください。

では実際のところはどうなんだといわれそうなので、いちばん起こりえそうなシナリオを書いておきます。

まず、このような妨害行為がなくても、ユーザーの送金はしばらく麻痺したままになり、混乱が予測されます。いくつかコインを分離する方法がありますので、徐々にですが、そうした分離がユーザーの手で進むと思います。

分離手法に欠点が無く安全性がたしかめられた時点で、取引所が入出金を再開し、その時点でコインの分裂が最終的に是認されるでしょう。

その後ですが、大人なABC陣営が次のバージョンでリプレイプロテクションをつけて再フォークし、恒久的な分裂という結果に落ち着くとおもいます。

(これはETHとETCで起こった経緯と同様です。コイン分離手法が確立してしばらくあとに、ETCがリプレイプロテクションをつけて、恒久的に分裂しました)

以上です。

 

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