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グリッドコンピューティングとビットコインテクノロジの幸せな結婚

レポート「アルトコイン図鑑」では30種類以上のコインを解説

レポート「ビットコインの情報源決定版(26ページ)」を配信しました。レポート内容へ

15先日ひさしぶりに自分のウレットを確認したら、FLDCという見慣れないコインが送金されてきた。

なんだろうと思ってしらべていると、タンパク質の折りたたみをシミュレーションするプロジェクトが、コインによる報酬制度を取り入れたようなのだ。どうやら、クラウドセールの経験があるひとに対して、プロモーション的にコインを少量送っているらしい。

Folding@homeというのは、聞いたことがあるかもしれないし、やったことがあるひともいるかもしれない。代表的な分散コンピューティングプロジェクトである。

これで計算をするのは、タンパク質の折り畳みのシミュレーションだ。タンパク質というのは、特定の配列をもったタンパク質が、生成された後、どのような形をとるかというのはよく分かっていない。実際に細胞内で生成されてみて、初めて、その立体的な構造がわかるのだが、どうしてその構造に折りたたまれるのかは、詳しい仕組みは分かっていないのだ。

その仕組をコンピュータでシミュレーションすることによって、折りたたみのメカニズムを解明しようというのがこのプロジェクトだ。折りたたみのメカニズムがわかれば、あるタンパク質がどのような形をして、どのように機能するかといったことがわかるようになり、薬の開発が容易になる。

このシミュレーションは力技で単純計算を繰り返すしかなく、膨大な計算資源が必要だ。こういうタイプの計算には、スパコンをつかうのではなく、みなさんのPCの空き時間を使うのがいい。

みなさんのPCの開いている時間にこの計算を行い結果を送信する。ソフトウェアが自動的に開いているCPUの時間をみつけて、裏で計算を実行してくれる。ユーザーは、単にソフトウェアを入れておいてバックグラウンドで実行しておけば良い。

こうして、世界中の空きCPU時間を足すと、スパコン何十台分にもなる。これらを使って計算をおこなうことを、分散コンピューティングとか、グリッドコンピューティングという。

この草分けはSETIというプロジェクトだ。これはなんと地球外生命体を探そうというものだ。

宇宙のかなたからは、様々な電波が届く。その多くは自然界のものだが、それをフィルタリングして、人工的に発せられたものがあれば、検知しようということだ。何千万光年もの彼方からの日々とどく電波を、世界中のCPUの空き時間が解析して、宇宙の彼方からのシグナルを探している。

さて、ビットコインとなにが関係あるのか?

CPUの空き時間をこのプロジェクトに提供すると、ある種の仮想通貨がもらえる。さきほどの、FLDCコインだ。提供した量にしたがって、このコインが貰える。従来は完全な無償のボランディアベースだったが、それに仮想通貨で報酬をつけたわけだ。

このコインがその後何に使えるのかは分からないが、プロジェクト内の通貨として、何らかの形で利用できるようにするのだろう。そして、コイン自体に価値があり、自由に流通し、交換し、市場で取引もできる。

これはまさにビットコインの模写で、CPUの空き時間をつかって計算するのはマイニングに相当する行為だし、その報酬としてビットコインがある。

このように、特定のコミュニティの目的につかうためのオリジナルのコインを発行し流通させることで、インセンティブをコントロールし、経済圏をつくるような試みが、いま急速にテストされている。

注目している取り組みはイスラエルのベンチャーによる、Zennetだ。これはまさに先ほどのような仕組みにより、誰もが使えるクラウドのスパコンを提供するものだ。専門的な用語で言えば、クラウド型のグリッド・コンピューティングであり、そのリワードと利用料に独自のZennet coinを使う

これらをビットコイン2.0と呼ぶ。もはやビットコインではないが、テクノロジの基礎はビットコインと同様のものをつかっているので、2.0と呼んでいる。

コミュニティの動機付けや報酬制度として、ビットコイン2.0による独自コインが利用されることは、主流になるだろう。

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