暗号通貨のこれからの10年についてー3つのエピソードから

レポート「アルトコイン図鑑」では30種類以上のコインの概要と見通しを解説(詳しく)

2019年の始まりにあたって少し思っていることをつらつらと書いておこうと思う。

3つの短いエピソードから始めたい。

1年ほどまえに、ある著名ベンチャーの役員と食事をしたことがある。古くからの知り合いだったからだ。もちろん話題は暗号通貨になるのだが、どうしても暗号通貨がピンとこず、腑に落ちないというのだ。

私はすこし考えた挙句、価値の保存とか、政府にとらわれない資産だとか、そういうことも喋ったのだけれども、自分自身としてすごくピンときた説明をした記憶がある。

「暗号通貨を現実の世界とリンクさせて考えるとわからないのです。これはパラレルワールドなんですよ。僕達は、今、いままでの経済とは全く別の場所に、全く別の経済圏をゼロからつくっているんです。だから、その中にはいらないと、その経済はわからない。外からみているだけではわからなんです」

というようなことを言った。実はインターネットの初期というのはまさにそのようなもので、現実の世界とは別のところにインターネットという世界をゼロから構築していった。インターネットのことがわからないというひとは、ネットの世界に入り込んでなかったから、別の世界を体験できなかったのである。

パラレルワールド。

ネット黎明期からの起業家である彼は、即座にこの比喩を理解して、頷いていた。

★★

昨年、ホリエモンの仮想通貨祭りというイベントに出演させてもらった。
堀江さんがチップでもらったモナコインが3000万円になったとか、イーサリアムのICOに参加したはいいがETHが取り出せてないとか、いろいろ面白い話題がでた。パネルの後半、核心部分に近づくにつれて、自然と、ビットコインは決済に使えない、使われてない、というテーマが出てきた。

私はこう答えた。

「ビットコインはすでに大きな実需があり、多額の決済に利用されています。それはアルトコイン取引です。アルトコインを買うにはビットコインで買わないといけない。ビットコインで決済されているのです。すでに通貨として機能し、基軸になっているのです」

堀江さんも大きく賛同した。

多くのひとが、暗号通貨でパンやコーヒーを買うことをゴールと思っているそしてそれが買えないのだから、暗号通貨は失敗だし、使われないとしている。ビットコンは決済に使えない。(だからビットコインキャッシュだ・・とつづくのだが)

しかし、そんなことはない。現実を見ていないのだ。ビットコインは、アルトコイン決済の基軸であり、毎日、何百億円ものコイン取引を媒介している。年間にして数十兆円はくだらないだろう。その経済のなかでまさに決済手段および基軸通貨として使われているのだ。

以前、暗号通貨は日常の決済に使われないというブログを書いて、いろんなところから猛反発にあったのだが、興味がある人は目を通してみてほしい。
http://doublehash.me/can-crypto-pay-everiday-transaction/

★★★

ハッシュハブカンファレンスというカンファレンスに登壇した時の話である。
カンファレンスの最後の時間をいただき、これからの暗号通貨の使われ方の話をした。

「まだ目に見えない経済」の話である。

ツイッターなどで誹謗中傷を受けることがある。ネット上では誰に対しても無料で暴言を吐くことができる。堀江さんや乙武さん、イケダハヤトさんやはあちゅうさんといった著名人に暴言をはくことができる。

考えてみれば、堀江さんの講演を聞くのには数万円、一緒にお寿司を食べるには十数万が必要だ。もし、面と向かって堀江さんに暴言を吐くことができ、それを堀江さんがうけとめるというプレイがあったら、いくらの値段がつくだろうか。すくなくとも寿司を一緒に食べるよりも遥かに高くつくに違いない。しかしネット上だと同じ行為が無料なのである。

実はここにヒントがある。暴言をはいて、それを受け止めるというのは、ネット上ではお金に換算できていないが、なんらかの価値が創造されていると見るべきだ。

ツイッターのRTのやり取り、Facebookのいいね、Youtube、そうしたやり取りのなかで、多くのひとが価値を生んでいるというのは異論を挟むひとはいないだろう。それらの価値は、価値をもっているのにもかかわらず、お金という形で表出してこない。GDPに直接カウントできてない「見えない」価値創出なのだ。その規模は、すでにものすごく大きい。

あるひとはそれを評価経済と称し、だからお金が媒介しなくてもよい、媒介しないのが評価経済だという。私はそうではないと主張する。

Fiatはデジタル世界の価値を媒介するのには決定的に不便だ。もし、少額で決済でき、グローバルに使えるマネーがあれば、いま目に見えていない価値を、そのお金で決済できるだろう。

ライトニングネットワークなどの少額決済、スマートコントラクトによる自動化がこれらの経済を目に見えるようにしてくれるはずだ。そうなると、ある日、いきなり、何十兆円もの経済が、ぽんと世の中に出てくるのである。見えなかった経済が、見えるようになった日である。

暗号通貨は、パンやコーヒーを買うのに使われるのではなく(使うこともできるけれども)、Fiatで媒介できていない(まだ見えない)価値を媒介するために存在しているだ、という話である。

すべてのものが課金される未来
http://www.unitedbitcoiners.com/blog/6c883f58d7a

〜〜〜〜

この3つの話は、どれもつながっている。

僕らは、暗号通貨によって、見えない価値を創造し、支えようとしている。
僕らは、暗号通貨によって、Fiatではできない価値の交換を実現しようとしている。
暗号通貨を現実世界に適合しようとしているのではない。現実の経済とは別の場所に、別の経済圏をつくろうとしている。

10年後の未来は、ぼくらは暗号通貨経済圏の中で半分生きることになる。
そのなかでお金(暗号通貨)が生み出され、価値が交換される世界である。

こうした世界で、現在実現できているものを唯一あげるとすれば、冒頭に話したアルトコインの取引である。

アルト取引は、現実世界と関係なく、Fiatとも関係ないひとつの閉じた経済圏をつくっている。世の中のひとはアルトコインの交換を経済行為とはみなしてないだろうが、仮にFiatになおせば何十兆円にもなろうかというのである。彼らの目に見えないだけである。パラレルワールドの経済なのだ。

そうしたシステムは次の3つの特徴をもつ。

1. システムがそのなかだけで閉じている。外部のデータや資産、サービスを土台としない。
2. システム内で稼ぐことができ、消費することができる
3. それらのシステムは緩く連携し、お互いに価値を交換することができる

というものである。

現在実現できているものはアルトコイン取引くらいであるが、ライトニングやスマートコントラクトの発展により別の分野でもこうしたパラレルワールドの経済が実現する可能性がある。

セカンドライフのようなものかもしれないし、新しいSNSのようなものかもしれない。
それを探っていくというのがしばらくの私のミッションであり、興味の行き着くところである。

以上です。これ以外にStore of Valueや無国籍資産としてのビジョンもあるのですが、それはまた改めて書こうとおもいます。資産としてのパラレルワールドのビジョンです。

最後に今年の抱負というか、年始にあたって。

あんまり抱負とうほどかしこまったものは無くて、好きではないんですが、いろいろ書いてきたような考えなので、だったらこういう活動に主軸をうつそうかなというのはあります。

昨年の狂乱が落ち着いてニワカ投資家も全て去ったとおもうので、新しいことをはじめるにも良い時期です。今年は新しい芽がでてくる年だとおもいます。

いままではブロガー活動を中心にしていたのですが、長期的なビジョンをもとに、それを支える基礎技術やサービスに対して、投資していくという形にしたいと思います。つまり投資家としての活動に主軸をおいていきたい。

もちろんいままでも投資はしてきたのですが、投資もやってますじゃなくて、投資が中心ですということにわかりやすくしようと思います。

とりあえずエンジェルファンドとヘッジファンドを始めます。前者がここに書いた話。後者は、SoVとしての発展やトレードのシナリオも描けているのでそっち系。

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