レポート「アルトコイン図鑑」では30種類以上のコインを解説
レポート「ビットコインの情報源決定版(26ページ)」を配信しました。レポート内容へ
2015年も早くも半月が経とうとしています。その間にビットコインの価格はクラッシュ。Bitstampがハックされるなど、いろいろな問題が続いていますが、その中で、落ち着きを取り戻すためにも、今年の見通しを書いておこうと思います。
ビットコイン1.0
1.0分野は、シリコンバレーでは昨年度に多額のVC投資が行われました。累計4億ドル。Coinbase、Circle、Blockchain.info、Bitpay、Zapoなどが20~30億円といった巨額の調達を行いました。ウレットや決済サービスが中心ですが、このトレンドは今年も続くでしょう。
より安全に、より簡単に使えるようにするための努力が行われるものとみています。
その中でもキーになるのは、マルチシグ・テクノロジーでしょう。マルチシグとは、複数署名といわれるものです。
核兵器のボタンの例えを良くしますが、あれは、大統領だけの独断でボタンを押せないのです。たしか、司法長官や国防長官など、3人が揃って押して初めて発射できる。誰かが暴走するリスクを抑えているのです。
これと同じようにマルチシグテクノロジーでは、3つの署名のうち2つがサインされて初めて、お金が動くというようなことが行えます。ハッカーが秘密鍵の1つを盗んでも、のこりの2つが侵されていなければコインは安全です。
このテクノロジーを上手く使うことで、より安全にコインが保管できるようになるでしょう。現状の秘密鍵一発がなくなると終わり、という状況から改善が期待されます。
同様にマルチシグテクノロジーは、資金の一時預かりや、エスクローなどにも応用でき、今年はこのテクノロジーを本格的に採用したサービスが立ち上がり、より安全にコインがあつかえるようになるでしょう。
もう一つは、米国のビットライセンスの行方です。現在米国には、ビットコインの取引所がありません。意外と思われるかも知れませんが、法律ができてないので、作れないのです。これに法律上の枠組みをあたえるのがビットライセンスですが、まだ難航していて、いつ出来るのかはなんとも言えません。
ただし、これができれば、米国にもビットコインの取引所が出来るでしょう。おそらく世界最大の資金が流入し、一昨年の中国以来の巨大な市場が加わることになるでしょう。
また、ウィンクルボス兄弟のビットコインETFもいつ認可されるかわかりませんが、これができれば、多くのひとが間接的にビットコインに投資出来るでしょう。
米国でのビットコインアクセスがより容易になるということが2015年中に起これば、最大の良いニュースになります。
1.0分野をまとめると
・マルチシグによるより安全な財布、取引所のシステムへ
・米国のビットライセンス試行により、米国内に取引所の開設へ
次に、ビットコイン2.0分野ではどうでしょうか。
昨年の頭の時点では、ビットコイン2.0などというものは全くの空想で、紙の上での話でしたが、あっという間に実際にサービスができました。
とくにスマートプロパティの分野は、すでに実用できるツールができ、たとえば、counterpatyなどで、ビットコイン上で動くトークンといった形ですでに実用になっています。分散型の取引プロトコルや、配当の仕組みなども実装されています。
影も形もなかったデジタルアセットという分野が実現されました。
他にも、Nxt、BitSharesXなどのアセット向けプロトコル、分散型のアプリとしてのStorj, Maidsafe、分散アプリの汎用プラットフォームのEthereumなどが立ち上がりつつあります。
引き続き、この手の分散型アプリの市場は拡大の一途をたどるでしょう。2015年の早い内にEthereumがリリースされることも期待しています。
独自のトークンによる資金調達モデルは、既存のVCモデルを真っ向から否定します。2015年は、この調達モデルとマネタイズによるアプリが大量に出現することになると思います。ビットコインは、それらのトークンの間を売買するための媒体通貨として実需が与えられ始めると考えています。
新しい展開として、2.0分野でもっとも注目すべきは、スマートコントラクトの実現です。こちらも紙の上での空想で実装がありませんでしたが、2015年になって、実際に動くスマートコントラクトが出現していきます。
ripple + codius、Ethereumなど、いろいろな解が模索されそうです。今年の早い段階でいくつかのスマートコントラクトが動き始めるでしょう。
スマートコントラクトによって、ビットコイン金融というまったく新しい分野が突然にして登場するはずです。
P2Pギャンブリング、P2Pブックメーカー、P2P保険、P2Pエクスローサービス、ビットコインのデリバティブ、先物、オプションなど。
プログラム可能な通貨がもたらす金融イノベーションのインパクトは想像を絶するものがあります。私の個人的な予想は、まずは、ビットコインをつかったブックメーカー、デリバティブの市場が立ち上がるでしょう。最初は賭け事ですが、天候デリバティブなどを経て、保険としての役割を担えるように発展していくでしょう。スマートコントラクトに利用する、ファクトストリームという、事象のデータベースもすでに出来上がっています。
2.0分野をまとめると、
・分散型アプリケーション(DApps)と独自トークンによる資金調達とマネタイズ進展
・スマートコントラクトとビットコイン金融の進展
この2つが重要です。
後者は、2.0というより、1.0の拡張のような気もします。マルチシグは初歩的なスマートコントラクトでもあります。
以上の文脈から、業界の動きをウッチして、これらのテクノロジーが何をもたらすかという解釈を、みなさんにお伝えして行きたく思います。今年も、ビットコイン界の池上彰(笑)として頑張ります。
ご期待ください。
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