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Segwit2xがめまぐるしく動いているようだ。現在は、NYAという文字をブロックに埋め込むことでマイナーが支持を表明しており、80%を超えている。
現在の状況については、Jimmy song氏のブログがわかりやすいまとめになっているので、これの要点を引用しながら、解説する。
Segwit2xのSegwitアクティベート方式
Son氏によるSegwit2xのアクティベート方式の要点は以下である。
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Segwit2xのアクティベートはBIP91という方式を採用する。これは、従来の95%のアクティベート基準を80%に下げる効果が有る。
- BIP91は、version bits 4をシグナルするが、bits 1も有効としてカウントする。
- 336ブロック経過のうち269ブロック(80%)で、ロックイン
- ロックイン後336ブロック経過でアクティベートされる
- BIP91がアクティベートされるとネットワークは、BIP141(Segwit: version bits1)のシグナルしていないブロックを不正として拒否する
- これにより速やかに95%に達し、2週間後BIP141(segwit)がロックインされ、その2週間後にアクティベートされる
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という仕組みとのこと。
つまり、最終的には、現在のBIP141(95%によるSegwit)のデプロイ方式は変更しないということのようでだ。
Segwit2xのデプロイ方式は現行方式と互換性がないのではという指摘もあったが、この方法であれば互換性は問題は生じなそうだ。懸念点は解消された模様。
また、BIP91のアクティベートによる効果は、UASF(BIP-148)と全く同じものだ。つまり、Segwit (Version bits 1)以外のブロックを拒否するというものである。であるので、BIP148とも互換性があり、8.1にBIP91がアクティベートされれば、UASFによるフォークはおこらないことになる。
現状Segwit2xでは、BIP91を8.1までにアクティベートさせるという方針で急ピッチで動いている。BIP91の基準期間は336ブロックと短く、約2日半である。ロックインまで2日半、その後アクティベートまで2日半なので、合計5日で完了する。
ただし、私的には、いくつか疑問点がある。
- そもそも、まだソフトウェアが完成していない。8.1以前に十分動作がテストされたものがリリース出来るかは未定だ。
- BIP91(segwit2x)と、BIP148(UASF)では、得られる結果は一緒である。つまり、BIP141 (Segwit)のシグナルを出していないブロックを拒否するという動作は全く一緒である。
- とすれば、Segiwt2xチームやマイナーは、なぜ8.1のUASFまでに躍起になってこれを作っているのか。同じ結果が得られるなら、UASFに賛成し、8.1までにマイナーがSegwitシグナルを出せば同じ結果が得られるのではないか?
- わざわざ別の方法でやる(しかもソフトウェアができてない)というのは、どういう意図があるのか?
更に、今後の成りゆきも不透明感がある。
- Segwit2xは、その後のハードフォークを前提としている。協定では、Segwitをアクティベートさせると*同時*に2Mハードフォークへの時限装置も組み込むとしていたが、Segwitのアクティベートが現状のBIP144を踏襲するかぎり、そのような時限装置は組み込めないはずである。つまり、今回はSegwit単体でのアクティベートになるという理解をしている。
- (ただし、Segwit2xチームは、8.1までのコードベースに何を組み入れてくるのかは不透明であり、意図しない別のコードが追加される可能性も有る)
- segwit以外を拒否する挙動はCoreクライアントには実装されていない。これをCoreがコードに取り入れるのかどうかは未定である。コードに取り入れることになるとすると、Coreが取り入れるのは、BIP148になるのか、BIP91になるのか。
- BIP91が成功し、8.1以降、無事にSegwitがアクティベートされたとする。しかし、そのあと、2Mハードフォークが控えている。協定によれば6ヶ月以内のハードフォークとあるが、これに関してはCore開発者は合意していない。結局、これをめぐって再度の論争が続くのではないか?
- 今後、開発の方針はどうなっていくのか。Segwit2xのコードレポジトリを元に開発がおこなわれるのか。それとも、またコア開発が引き続き開発を行うのか
- Segwit2xの開発チームはBUの開発者主体であるが、そちらにスイッチが起こった場合、どうなるのか。今後、安定した開発が出来るのか?
ざっと言って以上のような疑問点があります。これらについては、まったくもって未確定です。
個人的な予想や感想をもう少し。
- BIP91だけが取り込まれたクライアントをマイナーが走らせることはそれほど危険ではないと思います。
- ただし、Segwit2xチームが、色気をだして、いろいろな他の機能をマージしてくるとなると、ややこしいです。純粋にBIP91だけ走らせるなら、大きな問題は起きにくい。
- そして、オリジナルのBIP141(Segwit)が単体でアクティベートされるなら、結果オーライ。オリジナルのBIP141であればASICBOOST禁止にもなる。
- しかし、その後2Mハードフォークをめぐって再び対立が起こりそう。Segwit2x=Unlimitedチームが2Mフォークへのプランを出して、今後もハードフォークへの綱引きが行われるのでは。
- ハードフォークと、開発の主導権をめぐり、今後も論争は続く
- 最終的には、ハードフォーク時点で結局ビットコインは2つに割れるのではないかと予想。
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