リップルトレードの運営停止に寄せて

レポート「アルトコイン図鑑」では30種類以上のコインの概要と見通しを解説(詳しく)

rp_f81fd2e4c52864042852c112ce927ae2.jpg

リップルトレードが運営を停止するとのメールが来た。米国ユーザーは来年1/13日から利用できなくなり残高を引き出せなくなる。それ以外の国はまだ日時は未定だが、順次サービスは停止される。

預けているXRPは、他のウォレットに移動せよのことで、Gatehubというところにスムーズに移動するヘルプをするという追加のメールが来た。

これに寄せて、最後に、言いたいことを書いておこう。

今回の運営停止がすごいのが、その理由だ。『弊社は銀行のためのテクノロジーのインフラ整備に焦点を置いた経営方針を取ってきており』、とはっきり書いてある。法律やKYC的にも、法貨との交換が生じるようなコンシューマ向けトレード業務は負担が大きいのだろう。ここまで割り切るのはある意味経営判断としてはしっかりしている。ripple labの株主様のご意向をちゃんと聞いている証拠だろう。

何度も過去にかいているが、現行のripple networkやXRPと、ripple labという会社は、同じようで、別のもの捉えたほうがいいと思う。いまは一体である部分が大きくても、将来そうであり続けるかは保証できない。株主と経営の判断次第だからだ。ripple networkはlab社の今後も発表されていくだろう多くの製品のなかの一つである。

rippleの株主からみれば、lab社が生き残り、成功すればいいのであって、ripple networkやXRPがどうなるかは、そのなかの要素の一つに過ぎない。そこはよく理解しておくべきだ。

lab社は、ここ2年ほどで、急激に銀行向けのソリューションに方向性を切り替えた。多くの名だたる銀行や金融機関が、lab社に期待を寄せており、それがXRP価格の理由付けとされているが、現状ネットワークやXRPをそのまま評価してすべて受け入れようと考えていると捉えるのは早計だ。金融機関の関心は、あくまで、lab社の技術やソフトウェア、インテグレーションであって、それらを使って、自社の仕組みをどう構築するかだからだ。

銀行にとっては、現行のネットワークは、中途半端にオープンで、レジャーも公開されているので、その上に自社の仕組みを構築するとは思えない。

銀行が関心があるのは、あくまで許可制の制限されたブロックチェーンであって、それをどうやって構築するかだ。lab社の技術がそれを支援するのであれば、lab社の技術の使えるところを使う。使えなければ他社のものを使う。自社の仕様に合わなければカスタマイズしてもらう。利用できるところだけ利用して、自社のシステムを構築するのに役立てるというスタンスだ。

現行のネットワークやXRPはどうなるのか?それはそれで残る。廃止にする理由もないし、誰かが使っている限り、それは残り続けるから廃止できないだろう。(ただしレジャーの認証はもっぱらLab社がやっているが)。ウォレットやトレードはLab社が手を引くので、他の業者が作ってくれてコミュニティが盛り上がれば存続するし、そうでなければ、それなりになる。もしこれを機会に、Lab社依存から脱却し、コミュニティとしで自立することができれば、別の未来がひらけるかもしれない。

銀行向けに関しては、銀行が本気で採用するなら、専用にフォークして別のネットワークを作るだろう。その中でXRP的な中間通貨を使うかもしれないし、使わないかもしれない。それは銀行の判断だし、それはわからないが、もはやそれを消費者が気にするひつようもないだろう。切り離された世界の仕組みがどうなっていようが、気にする必要がないからだ。

パーミッションなブロックチェーンの世界では、lab社のようなベンダーと、銀行という2社の関係のなかで事が進むわけで、一般の暗号通貨ユーザーは関係ないというか、関わることは不可能だ。

以上が私がパーミッションレジャーに関心が無い理由でもある。これが、Lab社の株をもっている投資家だったら視点は違うとおもうが、私は、ベンダーの株を持っているわけでもないし、彼らとビジネスをしているわけでもない。普通の熱心な暗号通貨、ビットコインユーザーだ。

私がlabの株主であったなら、今回のような決定は歓迎している。コンシューマーをカットして、株主に報いる姿勢は、まさに株主利益の徹底である。labの経営は、正しい方向を向いているだろう。そして、株主は利益を得ることになるとおもう。lab社と株主は成功すると思うが、XRP保有者も成功するかどうかは、問わなくても良い問題だ。

私はアンチXRPだといわれているが、単純にそう捉えないでほしい。私がずっと言っていることは、”Ripple Lab社はVC資本を受け入れている株式会社だから、株主の利益と、XRP保有者の利益が必ずしも一致するとは限らない”、ということだ。その上で投資判断をしたほういいというアドバイスが、私が何度言っている本質である。本稿も突き詰めればその点だけを書いているつもりだ。

私が、利害を共にしているのは、暗号通貨やビットコインのコミュニティであり、ユーザーであり、その価値であり、エコシステムである。暗号通貨の素晴らしいところは、分散型であり、特定の主体によらないところだ。

・おしらせ
ビットコイン研究所の有料版サロンでは、平易な言葉で最近の技術や業界事情などについて解説するレポートを毎週配信しています。

暗号通貨について、もっと知りたい、勉強をしたいというかたに情報を提供しています。サロン内では疑問点も質問できます。

一度登録いただけると100本以上の過去レポートが読み放題で、大変お得です。レポート一覧がこちらのページありますので、よろしければいちど目をとおしてみてください。