レポート「アルトコイン図鑑」では30種類以上のコインを解説
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ビットコインとその技術はかなり理解が進んだと思うのだが、それでもまだ誤解が多い。以前は、Mt.Goxの破綻でビットコインも終了したといったような低レベルの誤解が多かったが、最近は高度な誤解が増えているように思う。幾つか挙げてみる。
その1 ビットコインはブロックチェーン技術の応用である
たしかに、集合の包括関係を考えるとそのとおりなのだろうが、中には歴史的な経緯もそういう順番であると誤解しているひともいるようだ。
つまり、ブロックチェーン技術が先に発明されて、その応用としてビットコインがスタートしたのだと。
正しくは、ビットコインとブロックチェーンとPoWが、サトシ・ナカモトによって同時に発明された。この3つは切っても切れないものである。
その2 マイナーは中国に握られている。
マイニングプールと、マイナーの区別がついてない。マイナーはプールに接続しているだけで、実際はプールとは別に存在する。もちろん個々のマイナーも中国経営がおおいだろうが、マイニングプールの経営者は、マイナーになにかを強制したりすることはできない。
その3 51%のマイナーが共謀するとビットコインを改ざんできる
あたかも51%のマイナーが共謀すると、過去も含めてすべての履歴を自由に変えられる、だから(中国のパワーが大きいことも含めて)ビットコインは危険という話がいわれている。
実際に出来るのは、将来のダブルスペンドの試みくらいであるし、51%以上のハッシュパワーを将来にわたって維持し続けないくてはいけない。
過去の履歴も変えることはできなくはないが、そのためには、過去に投入されたハッシュパワーと同じだけのパワーを、51%とは別に再投入する必要がある。それを理解してない人が多い。
その4 ビットコインでは決済のファイナリティが確率的にしか得られない。ビットコインは「ビザンチン合意」を実現していない。
のは確かだが、だから容易にハックできるわけではない。
Vitarkのブログにあるように、162確認のあとチェーンをひっくり返すことができる確率は、2の256乗ある秘密鍵のなかから一発でキーをハックするのと同じくらいの確率であると指摘している。(あり得ない)
データベースの読み書きは、トランザクションに関して、システムが厳密なファイナリティを保証しないとまずい。
ビットコインの場合、Powと経済インセンティブという組み合わせによって、確率を極小にし、ハックするモチベーションも失わせている。
ビットコインのモデルを、プライベートネットワークで使おうとすると、確率的なファイナリティでは、問題が起こる。なぜなら、ハッシュパワーがないから、チェーンを過去にわたって一瞬でハッシュ書き換え可能になってしまうからだ。
つまり、ビットコインは危険なのではなく、ビットコインをフォークして作ったプライベートネットワークでは、経済インセンティブが機能せず、マイナーも不在だから、ファイナリティが得られない仕組みは危険なのである。なので、プライベートチェーンでは、ファイナリティが得られる他のプロトコルを採用したり、チェックポイントをもうけたり、管理者によるロールバックが可能な仕組みを加えることで、ファイナリティを確保する。
その5 ブロックチェーンを使えば、不可逆的で、改ざんできない記録がつくれる。
パブリックチェーンの特徴を、プライベートチェーンでも得られると錯覚した事例だ。不可逆的で、改ざんできないという特徴はPowによる莫大なハッシュパワーがかかっているからそうなっている。
もちろんプライベートチェーンでも改ざん出来ないように、チェックポイントを設けたり、フォークしたらロールバックするようなしくみを取り入れているが、それは、RDBをバックアップするのと何がちがうのだろう?
その6 ブロックチェーンは、土地の登記に使える
ただしくは、土地の登記をするような、登記簿システムに使えるということである。あくまで土地の権利の「記録」につかうのであって、その権利を保証するには、ブロックチェーン以外の強制力が必要だ。
現在でも、土地の二重売買などもあるし、登記上自分の土地でも誰かに居座られたりしたらどうしようもない。結局、強制立ち退きなどが必要で、これらは、ブロックチェーンとは関係ない。
あくまで、登記簿のような、権利を記録するデータベースが効率的に作れるという意味で、土地の権利自体がイノベーションされるのではない。
その7 イーサリアムは、電子契約の基盤である
契約の部分を、民事契約と誤解して、法律的なやりとりができるものだと考えている人もいる。正しくは、イーサリアムは、中央の機関なしに動く汎用コンピュータである。
イーサリアム上のプログラムは、コントラクトと呼ばれるので、これが契約と誤解されているのかもしれない。
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