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レポート「ビットコインの情報源決定版(26ページ)」を配信しました。レポート内容へ
分散システムのかたより、ビットコインに対するツッコミは度々うけるのですが、論点が理解できておりませんでした。この記事では、非常にクリアに理解できたとおもいます。
まず、マーク・アンドリーセンの「ビットコインのブロックチェーンはビザンチン将軍問題への実用的な解決法だ」
という話にたいして、ツッコミが入っている感じです。
ビットコインは「ビザンチン合意」を実現しておらず、というより、ビザンチン将軍問題とは関係ないという話です。
分散コンピューティングのかたからまず最初に指摘をうけるのはいつもこの点で、ビットコインの「欠陥」として、この話がでます。
なので、やっぱり、めっちゃひっかかる点なのでしょう。
他にも、最近は、プライベートチェーン方面のかたより、「ビットコインではファイナリティは確保できない。確率的にしかファイナリティが実現できない(ので欠陥だ)」、といったような表現でも批判がされているようにも思いまして、これも同じことを指摘していると思われます。
一方で、この「欠陥」を指摘されても、どうも的はずれだな、とおもってしまいます。
ブログの中でも言及されているように、
“「合意できない」というデメリットを逆手にとって、「最終的に反駁できる可能性がきわめて低い」という形に利用している。これはP2Pの一つの「形」のように思える。確かにこの方法は、ある一定のセグメントでは有用に思える”
というのがまさにビットコインでして、インターネットマネーとしてはそれでいいと思いますし、とくにPoWを噛ますことで反駁可能性を確率的に困難にし、経済インセンティブを噛ますことで、反駁するモチベーションを無くしています。
この組み合わせが絶妙でして、それが前提なので、インターネットマネーとして使うのがおよそ合理的と受け止めておりまして、その上で、その実用性を高める方向で、知恵や技術を集積していければと考えています。
ビットコインは、スケーラビリティなど、他の問題が山積みで、それらの実用性を解決するための提言やセキュリティリスクのツッコミならいいのですが、「合意」が達成されていないというのは、なんでその話?という感じのズレを感じてしまいます。
つまりビットコインは”P2Pマネーとして欠陥がある”という指摘は理解できるのですが、ビットコインは”分散合意アルゴリズムとして欠陥がある”という指摘はピンと来ません。
<用語の問題>
どうしてこういうかんじになっているのかといいますと、結局用語の問題なきがしてまして、「合意」の使い方のところで咬み合わない議論の発端ができてしまっているようです。
ビットコインな人は、割合あいまいに「合意」という言葉を使っていて、それに対して、分散システム側からツッコミを受けているという状況。しかし、そのツッコミはビットコインからすると実用上の問題では無いので、咬み合わないという話と捉えています。
一方、「合意」というのは、コンピュータサイエンスでちゃんと定義された言葉であって、ビットコイン側がかってに曖昧に用語を解釈して、合意だ合意だといっているのは、オカシイとおもうのは当然ですし、誤解や混乱を生んでいる気がします。
なので、ビットコイン側がもっと厳密に言葉をつかうか、別の用語を使うなどするのがいいとおもいます。
<プライベートチェーン製品>
以上ブログ前半部分でしたが、後半のプライベートチェーンに対するツッコミも興味深い話でした。
Private Chainにおいては、分散コンピューティング由来の製品と、ビットコイン由来の製品が混同していて、あきらかに基本設計が違うのに、両方共ブロックチェーンといっていて、わざと混同をしている気がします。
結局、銀行コンソーシアムR3が出してきた製品も、ブロックチェーンとは似ても似つかないものになりました。
というより、指摘通り、条件も設けたプライベートなチェーンでなければ、厳密な分散同意は実現できない。そうすると、ブロックチェーンというより、トランザクションに署名をつけて追跡できるようにした性能の悪い分散データベースといった感じになるのでしょう。
こうなると、オリジナルのビットコイン/ブロックチェーンとはまるで違う話になります。
このあたりも含めて、分散システムの方面から、界隈の状況をみると、ハチャメチャに見えるのはまさに合意するところです。
<ビットコインへの貢献をぜひお待ちしています>
最後に、以上の話を前提に、一つだけ、述べたいと思います。
ビットコインのようなP2Pマネーは、社会システムに多大なインパクトをもたらす、めちゃ面白い可能性を秘めたものだと思います。
いままで誰も手をつけられなかった「お金」という、いわばラスボス的なものを変革できれば、本当に世の中が面白くなるかもしれません。
ビットコイナーや開発者の関心はそこにあるので、ビットコインがより実用的になり、安全になり、スケールするための知見と技術を、多くのひとからビットコインコミュニティに注入いただければ幸いとおもいます。
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