Ant-PoolがBitcoin Unlimitedのブロックを採掘、BUの仕組みについて

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今日の未明、Ant-PoolがBitcoin Unlimited(以下BUと略)のブロックを採掘し始めて、界隈が騒然(または歓喜)しました。

当該のブロックは、456039と456040で、2つ連続で採掘されました。

Screenshot from 2017-03-07 11-37-05

その後、3つめのブロックが来るかとおもわれましたが、BUのブロックはこれが最後で、3つめのブロックはBUもSegwitも支持しないブロックでした。

現在も、BUのブロックを採掘したのはこの2つのブロックのみとなっています。

Screenshot from 2017-03-07 11-40-03

仮に、Antはハッシュパワーが約16%と、最大のシェアを持っています。これが、完全にBU支持にまわると、現在の22%程度とあわせて、38%のハッシュパワーを持つことになります。これに、5-6%のパワーのある中規模のプールが2つほど加われば、BUが51%のハッシュパワーを獲得するという事態の現実味がでてきます。

BUに関しては多くの人がブロックサイズを拡張するプロトコルだとシンプルに考えているようですが、実際は、より複雑です。

詳しくは、ビットコイン研究所サロン有料版で詳しく解説しましたが、複雑かつ、リスクも存在しています。

BUでは、次の3つのパラメーターを新たに導入します。

  • Maximam Generation Size (MG)
  • Excessive Blocksize (EB)
  • Excessive Acceptance Depth (EA)

MGはマイナーが採掘するブロックのサイズ、EBはフルノードが許容できる最大ブロックサイズ、EAはフォークした時に強制的に長いブロックを認めるまでのモラトリアム経過数です。

なお、これは個々のマイナーやフルノードが個別に自分の判断で自由な値を設定します。

各自バラバラに表明した値が、どこかで収束して、1つのチェーンを維持できなくてはいけませんが、BUは、そのようにネットワーク全体が合意できるという新しいプロトコルで、Emergent Consensusと呼ばれます。

つまり、新しいコンセンサス=ビザンチン合意のプロトコルを導入するものであり、サトシが最初に設計したものとはまったく似て非なるものを導入することになります。

こうした3つのパラメーターで合意を形成するような複雑な仕組みは、十分に検証される必要が有ります。

しかしながら、すでにセキュリティリスクもいくつか指摘されています。

現在の論調はSegwitなのかBUかということになっていて、議論が非常に矮小化されている(意図的に)とおもわれます。たとえば、

  • 大きなブロックサイズか、小さいブロックサイズか
  • 手数料を上がるのを良しとすると、安い手数料が欲しいか?
  • サトシのビジョンを守るか、コア開発者の独占を許すか?

などです。こういった、単純化した議論は技術面に無理解な大衆を陽動するものでビットコイン版のポピュリズムに思います。

ビットコインは、政治的な主張以前に、ソフトウェアでありプロトコルなのですから、それが安全に動くことが前提になります。技術的な検証を十分に踏まえ、技術的な観点から選択がなされるべきでしょう。

今後、ビットコインが本当に分裂するようなことがあれば、どう準備すれば良いのかについては、難しいハンドリングになります。イーサリアムなどの経験を活かし、今後、当ブログや有料サロンのほうでもフォローアップしていく予定です。

 

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