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ビットコインに興奮しているのは、古い世代の人が多い。古い世代というのは、インターネットの黎明期で活躍した人たちだ。
ビットコインのスタートアップの最大のインベスターである、マーク・アンドリーセン(1994年にネットスケープを創業)を筆頭に、ティム・ドレイパー(老舗のベンチャーキャピタルのDFJのパートナー)はビットコインに夢中であるし、ピーター・ティール(1998年にペイパル創業)も21incに投資している。
日本では、伊藤穰一(デジタルガレージ創業者、MITのメディアラボ所長)もビットコインのリサーチ機関を設立した。
つまり、1994-2000ごろのネット黎明期に活躍したひとが、ビットコインを推す発言をよく行っている。これはなぜだろうか?
ビットコインをサポートするひとがネット黎明期世代に多いのには2つ理由が考えられる。
ひとつは、単純に彼ら一仕事をおえてベンチャーキャピタルやエンジェルの立場から、支える仕事をしていることが多いという理由。2004のフェイスブック以降の世代は、まだ自分たちのビジネスに忙しい。
そして、もうひとつは、ビットコインに、インターネットとおなじような既視感を感じていることだ。
「ビットコインはインターネットの再来だ」
マーク・アンドリーセンによれば、このようなことがITにおきたのは3回めだといい、デジャヴだとしている。
1回めは、「パーソナルコンピュータの出現」
2回めは、「インターネットの出現」
そして、3回めはビットコインとブロックチェーンの出現だ。
パーソナルコンピュータでは、ホストコンピューターに集中していた技術と計算能力が、個人に開放された。IBMはビジネスを失い、マイクロソフトがそれを塗り替えた。
インターネットでは、メディアや通信、広告といった産業を破壊し、グーグルと、フェイスブックと、その他のネットの企業ががそれを塗り替えた。今もそれは進行中である。
インターネットは、「情報」に関しての境界線を世界から取っ払い、ビジネスだけではなく、世界のあり方を変えた。
そして、ビットコインは、「価値」のやりとりに関する境界線を世界から取っ払い、金融ビジネスのあり方を変えるだけではなく、組織のガバナンスも変えるだろう。
私自身は、大学に入学した1994年にネットスケープが発明され、1999年のネットバブルに参加した。そういう意味では、古い人間である。
個人的に、その時とビットコインを比べて、既視感を感じる点を挙げておきたい。
・非連続的である、破壊的である
まったく違う技術、まったく違うアプローチによる解決法である
・否定と賛成で、議論が起きている。批判が多い。
インターネットの時も、こんなものは役に立たない、ビジネスにならないという議論があり、正面から論争していた。
・技術開発は着々と進んでいる
批判と関係なく、日々新しい技術進歩が大量にあった。
・コミュニティがまったく被っていない
インターネットのとき、インターネットをやっていた人材は海のものとも山のものとも知れず、まったくの胡散臭い連中だった。本当に胡散臭かった。
現在、ビットコインコミュニティの連中も、大手のネット企業や、金融から流れてきたのではなく、初めからビットコインだけをやっているような、まったく違うタイプの連中だ。
すっかり成熟したネット界隈から見ると、「あいつらは得体が知れない」と思われており、インターネット黎明期に、成熟した産業のCEOたちがアンドリーセンや伊藤穰一を見ていた目とまったく同じである。
・既存のプレイヤーが、理解できず、まごついている。
ブロックチェーン技術は、インターネットの同様になにがスゴイのかを殆どの人が理解できていない。
・みんな話題にしているのに、誰も使ったことがない。
1994-6年頃は、みんなインターネットに注目していて、大企業もこぞって次はインターネットが大事だと騒いでいた。しかしリサーチにきた企業の担当者は、インターネットに接続したことすらなかった。それでいて、インターネットに大いに感心があるというのだ。
現在も、ビットコインに関心がある、調べているといっている担当者のほとんどが、ビットコインに触ったこともなければ、持ってすらいない。
・人材が流れ込んでいる
1999年頃のバブルでは、エスタブリッシュメントが大量にネット業界に流れ込んだ。同じように、ウォール街や、大手のネット企業から、エース級の人材が、ビットコイン業界にどんどん人が転職してきている。
・VCが大きな投資をしている
技術の出現のしかた、それをやっている人、周りの批判、すべてがインターネットの時と同じなのである。私も、アンドリーセンのいう「既視感」というのがよく理解できる。
最後にこの動画をお見せしたい。1994年の、TVショーである。1分半程度の短い動画なので見てほしい。これが端的に物語っている。
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