レポート「アルトコイン図鑑」では30種類以上のコインの概要と見通しを解説(詳しく)
先日おこなったアンケート「暗号通貨に何を求めるか?4つのスタンスの違い」は興味深い結果がでた。
まず、前回のアンケートをまとめると、
- 早く簡単に手っ取り早く法定通貨を増やしたい 42%
- 法定通貨ではないユニバーサルな資産がほしい 28%
- 早くて無料の支払い手段がほしい 18%
- ビットコインは徒花でブロックチェーン技術が本命 12%
これに対して、更に1段深堀する質問をなげてみたところ、ほぼ私の仮説を裏付ける結果がでたので、以下にまとめと考察を書いておこうと思う。
まずは、暗号通貨に求めるものが「エキサイティングな相場」だと答えた人のアンケート。
私の仮説は、この層は、相場があれば何でも良く、極論、ギャンブルやサイコロでもなんでも儲かりさえすればよい。たまたま暗号通貨の相場が良かったので参加したが、儲からなければ興味を失うというもの。
結果は、68%*の人が「別に暗号通貨に興味があるわけじゃなく、儲かればなんでもいい」と答えている。まさに仮説を裏付けるものであった。
*結果だけ見るの数字を除外して再計算している。
前段の「暗号通貨に求めるもの」とあわせて、要するに、現在暗号通貨に興味をもっているひとの大半が、マネーゲームの手段として暗号通貨を見ており、暗号通貨がいかなるものであるとか、中身がどうあるとか、そういうものはどうでも良いとしているということである。
比較的リテラシーの高い私のフォローワーでこの結果なので、一般にアンケートをとれば、こうした通りすがりの投機家の比率はもっともっともっと高いものと考えられる。
次が、暗号通貨は、早くて無料の支払い手段であるとした層。
私の仮説は、この層は、純粋に支払い手段としての利便性をもとめているのではないかというものだ。つまり、できれば暗号通貨という価値の不安定なものではなく、日本円をつかって早くて無料の支払い手段が実現してほしいとおもっているのでは?暗号通貨はこの層にとって何の意味もなしてない可能性がある。
結果は、的中した。67%が、暗号通貨より日本円のほうが好ましいと答えた。
つまり、これらの層がもとめているものは、非中央集権とか、分散とか、P2Pとかではなく、単に早くて安い決済手段である。
暗号通貨の初期の時代、たまたま手数料が安い時代に、暗号通貨hあ「安価で、早い決済手段」だという宣伝がなされた。事実日本の銀行振込は時間が制限され、XXペイといったサービスも充実していなかったので、暗号通貨のほうが有利であった。
しかし、これは暗号通貨にとっては間違った宣伝だったのかもしれない。安価で安い決済手段を求めていた層は、暗号通貨は価値も不安定でできれば日本円を使いたいが、手数料が安いならば・・と考えてたということだ。
暗号通貨初期から数年が経過し、銀行や、XXペイなどのサービスは大きな進化を遂げている。こうしたサービスは24時間化し、また手数料は無料であることが多い。
中国ではアリペイによる決済が現金を駆逐し始めているが、アリペイは、まったくの手数料が無料で、24時間つかえて、簡単だ。
日本ではアリペイまで進んでいないが、数年以内に同じ状況が実現するだろう。オリンピックまでには、殆どのモバイル決済は無料になるだろう。
つまり、これらの層がもとめているものは、既に中国ほかにおいて実現しており、また日本においてもXXペイという形で実現するのは確実だといえよう。
もちろん、それらは中央集権的なソリューションであるが、これらの層にとっては、それは論点ではない。
暗号通貨においては手数料をゼロにすることは難しく、また即時決済をすることも難しく、価格も不安定である。これらの層のニーズとは明らかにマッチしていない。これらの層は現在雰囲気で暗号通貨を支持しているものの、いずれ暗号通貨の速度と手数料に失望するだろう。結局、中央集権的なフィンテックソリューションがこの層のニーズを満たすだろう。
最後は「政府や特定の権力によらない価値の貯蔵手段」と答えた層だ。それを得るために、どれくらいの手数料高騰のトレードオフをうけいれるかという質問である。
私の仮説は、とはいっても、これらの層も高い手数料は払わず、基本的に無料でないと使わない、といったものだ。つまり、雰囲気に流されているだけで、本当はそのような価値の貯蔵手段など求めていないのではないかというものだった。
それは半分裏付けられる結果となった。
48%のひとは、手数料は無料に近くなくてはいけないとした。つまり、「政府や特定の権力によらない価値の貯蔵手段」を利用する料金として、多少の手数料も払いたくないということだ。
これは正直都合が良すぎるかもしれない。おそらくこの層は、問いただせば「政府や特定の権力によらない価値の貯蔵手段」は欲しくない。雰囲気だけで言っている可能性が高いだろう。先の、日本円による無料の送金が一般的になれば、それでニーズが満たされる層ではないか。
なお、手数料が高くてもよいと答えたのは16%で、少数派にとどまる。
まとめ
この結果を踏まえると、暗号通貨が提供したいサービスと、現ユーザーニーズの間には、深刻なギャプがあると考えられる。ギャップは、勘違いとか、理解不足によるものが多く含まれる。
また暗号通貨側も、単に「早くて安い支払い手段」として宣伝するのは、ユーザーとのギャップを広める可能性がある。たしかに早くて安い支払い手段を求める層は多数派であり市場は大きいが、その層の本当のニーズは暗号通貨では満たすことが出来ないだろう。
私の仮説では、あえて特定のコインを出すが、ビットコインの本当に満たすことのできるニーズと、提供できる価値は、「政府や特定の権力によらない価値の貯蔵手段」にあると考える。
しかし、ユーザー側はまだこれに対して十分な気づきがなく、シリアスに「政府や特定の権力によらない価値の貯蔵手段」を欲している層は、まだビットコインの市場に参加してきていないだろう。
私はここ4−5年で、本当に「政府や特定の権力によらない価値の貯蔵手段」を欲する層が市場に参加してくると考えており、そのとき初めてビットコインのヴァリュープロポジションが明確になり、ビットコインの立ち位置がはっきりしてくるものと思われる。そして、ビットコインの価格は10倍以上になるだろう。
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