レポート「アルトコイン図鑑」では30種類以上のコインの概要と見通しを解説(詳しく)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所よりICOに関するニュースレターがでていた※1。
https://www.amt-law.com/pdf/bulletins2_pdf/170915.pdf
その中で、トークンの分類を下記の5つとしている。
①「仮想通貨型」トークン
② 「会員権型」トークン
③ 「プリペイドカード型」トークン
④ 「ファンド持分型」トークン
⑤ 「アプリケーション・プラットフォーム型」トークン
ICOのトークンの分類の考察をしたのは、私のブログ記事が日本で多分初めてで、そのあといろいろな分類がでているが、やはりピンとこない。上記の5分類も、(法律視点からはこうなのかもしれないが)非常に違和感があるというか、直感的に理解ができない。
その理由はなんだろうと考えあぐねていたのだが、今日その理由がわかった。
中央集権で、特定のサービスの提供主体があるようなものをトークンに含めているからである。
たとえば、分類で言う2番の「会員権」と、3番の「プリペイド型」は、サービス主体がないと成り立たない、中央集権トークンだ。
「会員権」ではトークンを持っていると、トークン発行者が提供するサービスを割引で受けられるなど、を想定しているし、
「プリペイド」では、”トークン発行者等の提供する商品やサービスの対価として利用可能なトークン”ということになっている。
このように、サービス主体があるような、従来の世界でも存在したような概念をトークン化しただけのものを、トークンに含めるのは私には非常に違和感があった。
会員権、優待券、チケット、前払い券、プリペイドマネー、アクセス権 etc..
日本でICOをやりたいというひとの話を聞いていると、上記のようなものを”トークン化”したようなものが多い。
「当社の音楽事業をICOしたい」「アートイベントをICOしたい」「町興しにICO」などにに関して、私が全く理解できず、ICOの話題をしても話が平行線だったのは、このせいである。
また、4のファンド持ち分型というのも、「トークン発行者が行う事業からの収益の分配を受ける」としており、これではただの証券とかわらない。
ICOのトークンの出自を遡ると、もともとは、非中央集権のプロトコルであって、オープンソースの開発でなされるもので、サービス主体もなければ、中心もないものが、どうやって立ち上げに必要な初期のお金をファンディングするか、という課題にICOは応えるものであった。
Master Coin、Ethereum、Madesafe、Storj、Factom、といった初期のICOは、およそその視点でICOが成されたものと理解している。
従来概念 | 分散型概念 | 紐づくトークン分類 |
法定通貨 | 暗号通貨 | 通貨型 |
Webサービス | Dapps | 利用権型 |
株式会社 | DAO | 配当型 |
その点からいうと、トークンは3分類しかない。
ひとつ目は、「分散型通貨」
2つ目は、「分散型アプリケーション(Dapps)の利用権」
3つめ目は、「分散型組織の収益の分配権(DAOの配当」
いずれも分散型の部分が新しい概念・組織形態であり、それにトークンが対応しているのである。
配当にしても、トークン発行者が行う事業から配当するのと、DAOから配当するのとはぜんぜんちがう。前者は株式会社でよく、ICOの必要性はない。
DAOであるからこそ、それが自動的に動くためにトークンをつかって収益を循環する必要があるのである。
分散アプリであるからこそ、リソースや計算資源をシェア・提供するためにトークンをつかって循環経済を作る必要がある。
分散型通貨であるからこそ、トークンをつかって、マイニングのインセンティブ入れる必要がある。
トークン経済の理解は、まずここからだとおもう。
そして、どこまでICOに含めるか。私は、非中央集権プロトコルのICOのみが正当化されると理解している。
他のものはクラウドファンディングで十分だとおもう。実態は従来のクラウドファンディングとかわらないがその権利を暗号トークン化したものと、非中央集権プロトコルのICOは、似て非なるものだ。この2つを区別して議論したい。
※たまたま毛利アンダーソンの分類を引用して論じていますが、一例ということで、なにか特定の主体を批判するものでありません。念の為。
<過去記事>
P2P暗号通貨の3類型(通貨型、利用券型、配当権型)とその特徴
https://doublehash.me/three-type-of-crypto-tokens/
・おしらせ
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