P2P暗号通貨の3類型(通貨型、利用券型、配当権型)とその特徴

レポート「アルトコイン図鑑」では30種類以上のコインの概要と見通しを解説(詳しく)

暗号通貨といっても、通貨として機能するタイプのもののほかに、他に2つのタイプのものがあると考えています。

暗号通貨の分類ということで、下記に私案を示します。

通貨型

通貨としての利用用途が主になっているものを指します。価値の媒体としての利用用途しかないものがこれになります。

ビットコインが代表で、ライトコインやドージコイン、国産のモナーコインなどがよく知られています。

また特定の地域に絞った、オーロラコインや、特定の業界(ゲーム)に絞ったゲームクレジット、特定の志向のユーザー(大麻)に絞ったPOTコインほか、無数のコインが存在します。

最近では、秘匿性や代替性に優れた点を差別化としてうたうコインが注目をあつめています。Dashや、Monero、Zcashと言われるものが代表です。

また通貨を主軸としながら、スマートコントラクトやトークン作成などの独自の機能拡張を加えた2.0といわれるコインも存在し、NxtやNEM、Wavesといったところがあげられます。(これらは一部の機能が次に説明するサービス利用トークンとかぶることがあります)

サービス利用券型

これは、イーサリアムが代表です。イーサリアムのネットワーク上で実行するスマートコントラクトのための「Gas(燃料)」として使われる利用券(トークン)です。依頼するコントラクトの命令のタイプと数によって必要になるGasが計算され、そのGasを添付して実行することになります。つまり、P2Pネットワークがなんらかのサービスを提供し、その利用対価として、トークンを消費するというモデルです。

イーサリアムの他には、他人のディスクスペースを借りることができるSia CoinやStorj、リソースをシェアするMadsafeなどがあります。またP2Pスーパーコンピュータを目指すGolemなどのプロジェクトがあります。

たとえばStorjでは、SCJXというトークンを支払うことで、P2Pネットワーク上にDropboxのようなディスクスペースを保持することができるほか、逆にネットワークに使っていないディスクのスペースを提供することで、トークンを手に入れることもできます。すなわち、シェアリング・エコノミーと相性がよいといえます。

Counterpartyでは、XCPというトークンを消費することで、ネットワーク上に独自のトークンを登録することができます。ドメインの登録料のような形でXCPトークンが使われると言えます。

Factomは、ネットワーク上に改ざんできないハッシュとタイムスタンプを記録するサービスで、記録毎にFactomのトークンを利用料として支払うモデルになります。

これらのモデルでは、トークンの値段が上がれば上がるほど、利用料が高くなってしまうため、矛盾が生じることがあります。

DAO配当権型

これは、DAOプラットフォームが稼ぐお金の配当権利や、投票権利として機能するものです。現状の株式にもっとも近いものです。

DAOとは、自立分散組織の略で、P2Pネットワーク上で自律的に動く一連のプログラムにより、組織のオペレーションを実現するものです。DAOは、管理者や、従業員が存在せず、プログラムにより自律的、自動的にサービスが提供されます。

たとえば、TheDAOは、P2Pによる投資ファンドで、投資の意思決定や、配当のオペレーションをP2P上で実現するスマートコントラクトです。The DAOのトークンの保有者は、このプラットフォームで生み出される利益の配当を得て、投票に参加することができます。(なお、The DAOプロジェクトはハッキングの為、すでに解散しています)

オーガーは、P2Pで行われる予測市場のプラットフォームです。一種のオンラインブックメーカーですが、胴元がなく、P2P上のプログラムが賭け事の作成や、掛け金の配当を行ないます。AugurにはREPというトークンが存在し、これの保有者は、このプラットフォームの利用手数料(1%程度)の配当を得ます。

FirsBloodは、オンラインのゲーム対戦トーナメントを提供するプラットフォームで、このプログラムの利用料が、1stトークン保有者に配当されます。

現在このタイプが増えています。

まとめ

通貨型、利用券型、配当権型の3つをまとめます。どれも現実に存在する、通貨、サービス、株式会社を、P2Pのネットワーク上に非中央集権的に実現したものだと捉えることができます。

代表例 実現しているもの
通貨型 ビットコイン お金
利用券型 イーサリアム サービス
配当権型 The DAO 株式会社

 

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