レポート「アルトコイン図鑑」では30種類以上のコインの概要と見通しを解説(詳しく)
Etherumが数日中にローンチする。長らく待った。この日を待ち望んでいた。
We are only days away from launching ‘Frontier’
(数日中に”フロンティア”をローンチする)
とある。2014年の夏に突如クラウドセールを行ってから1年たつが、リリースできないのではという批判が多かった中、無事リリースにこぎつけた。開発者チームの健闘を讃えたい。
フロンティアリリースは、Ethereumの公式なリリースヴァージョンの最初のもので、ジェネシスブロック(最初のブロック)が生成され、実際にネットワークが稼働する。Etherのマイニングも行うことができる。
<フロンティアの機能>
ただしフロンティアリリースにはいくつかの制限がある模様だ。
・コマンドラインベースの機能で、OSX, Linux, Windows版が提供される。
・コントラクトが動く。
・Etherのマイニング報酬は通常の1/10
・マニュアルのチェックポイントが設定され、万が一フォークした場合、ロールバックされる
・コントラクトの内容は、次のリリースに移行時に消えることもある
・クラウドセールで購入したEtherをwalletにロードすることができる。
・使われるEtherはリアルEther。送金などが行える。
実際に動くが、ベータ版ということになりそうだ。コマンドラインベースということもあり、開発者むけのリリースヴァーションということになる。
フロンティアリリースが問題なく動き、バグが潰されたあとは、Homestedに移行する。まったく問題がおこらなければ1ヶ月程度で移行するとのこと。これが完全な最初のリリースで、Etherのマイニングは通常通り、チェックポイントは廃止され、完全に自動モードに移行する。
<Etherのマイニング>
Etherのマイニングは、CPUまたはGPUで行う。Ethereumにつかわれている関数のDagger/Hashimotoは、ASICを作ることが極めて困難なアルゴリズムになっており(*1)、GPUでのマイニングが主役ということにある。
GPUといえばかつてはビットコインの採掘に際して活躍しその後はアルトコインでつかわれたが、ASICの登場で、完全に押入れの中に追いやられたものと思われる。
この設備を再投入することでマイニングができるのだから、ぜひマイナーは試してみてほしいと思う。ASICができないので、GPUでも長期的にマイニングできるとのことだ。
<日本におけるEthereumの状況>
現在有志の開発者による「スマートコントラクトジャパン」が立ち上がり、毎週勉強会と開発を行っているなど、積極的な活動がある。
こちらのスタッツにあるEtherumのノードで唯一の日本のノードがスマートコントラクトジャパンによるものである。
Ethereumは金融というより、むしろIoTと親和性が高く、また開発レイヤーがアプリケーション開発になるので、日本人の得意技とマッチする。この界隈に興味はあるものの、暗号に馴染みのない日本の大多数の開発者にとっては、ビットコインの慎重を要するスクリプトをつかったアルゴリズムやプロトコルの開発よりも、EtherumのCライクな言語をつかったアプリケーション開発のほうが馴染みやすいだろう。
日本ではEthereumの開発が急速に普及して、さまざまな応用アプリにチャレンジする人がでてくるものと期待したい。
現在スマートコントラクトジャパンでは、外部からの情報をコントラクトに取り込んで処理するといったものを行っているという。例えば、いついつの東京の気温が35度を超えた場合、こういう処理を行う、といった現実の世界とEthereumのコントラクトの融合だ。
<リリースにむけて>
さて、リリースだが、数日ということなので、早ければ週末にもリリースされるものと見ている。
今年最大のビックニュースになるはずである。と同時に、実際にEthereumが実用に耐える形で動いていくのか、問題が起きた時に対処できるのか、ここ1ヶ月が、いままでの開発の真価をとう重要な時期になるだろう。
*1 実際にはチップを作ることができるが、任意のコードを走らせる回路が必要となり、それはすなわちCPU/GPUということになるそうだ。
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