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「暗号通貨なんて不安定なものが日常の決済手段として使われるわけがない、通貨として致命的な欠陥がある」
暗号通貨否定派の典型的な主張です。
これに対して、私は、「いや、決済手段としても使われるし、お金として機能しますよ」
という反論をしてきました。
しかし、これがどうにも噛み合わないのですが、これには大きく前提として見えているものが違うとおもいました。
通貨として欠陥派は、基本的に法定通貨と同じ使われ方をするだろうという前提にたっています。
すなわち
- 給与支払い、報酬の支払い
- コーヒーやミルクなどの日常の買い物
- 水道料金、保険料、税金などの支払い
- 銀行振込の代わりとして
です。つまり、法定通貨を暗号通貨が代替して、暗号通貨が今の生活の基軸のお金として成り立つかどうか?
そんなの成り立つわけ無いじゃーん!
どう考えても、それらへの支払いをわざわざ価値が不安定な暗号通貨を購入してまで決済したいという実需は皆無です。
もちろん店舗やECサイトが暗号通貨決済を取り入れるというのは否定してません。多分、暗号通貨で支払い出来るのは普通になるでしょうけど、それは暗号通貨保有者が一方的に支払いをするだけです。経済学者のいう「パンやコーヒーの経済圏を媒介する通貨」として使われることはないでしょう。そういう意味で、私も、暗号通貨は通貨として機能してない、欠陥がある、という意見に同意します。
最近は、これを前提としてしっかり認めて共有することからスタートしてます。
じゃ、さっき言っていた決済として成り立つよという反論はなんなの?ということですが、それをちょっと説明します。
基本的に暗号通貨はインターネットのお金です。つまりインターネットの上のボーダレスなサービスに対して利用されるお金なのです。具体的にいうと、Dappsや、ブロックチェーンのインフラ、それの資金調達といった、私達がまだ開拓中の経済圏のお金です。
でもこれらの経済圏はどんどん広がっています。
コーヒーを飲むとか、ネットショッピングで買うとか、そういう「モノ」を買うためではなく[2]、たぶん暗号通貨は下記のような得体のしれないあやふやなものに対して支払いを行う手段になります。
- プライバシーのある取引をするため
- 分散でアイデンティティを証明するため
- レピュテーションを視覚化するため
- ビッグデータを購入するため、またはデータ提供によって暗号通貨を稼ぐため
- 発信/受信する情報の範囲をコントロールするため
- コンピュータリソースをシェアするため
- AIとインターフェイスを取るため
- トークンを発行するため
- いいねや、好意を示したり、応援するため
- 他の暗号通貨を購入するため※
- プロジェクトを支援するため(ICO)※
実にざっくりしていて曖昧ですが、私もはっきり見えません。最後の2つの※だけが今ははっきりとした実需として立ち上がっています。
2000年にスマホが想像できなかったように、10年後には想像できないサービスが生まれていて、それらの経済圏は暗号通貨が使われるはずです。それらのサービスは分散型で、ブロックチェーンと深く結びついているので、暗号通貨でないと支払いができないはずです。なので、暗号通貨に実需が生まれます。この経済圏では暗号通貨が経済圏を媒介し、通貨のように機能します。
暗号通貨が、現実世界の日本円を置き換えると考えるから理解が難しいのです。
わたしは最近、こういっています
「暗号通貨は、パラレルワールドなのです。僕達は、現実世界とは別の経済圏をゼロからネット上に作りあげています。その世界の存在に気づいているひとと、そうでない人がいます」
そう言うとわかっていただける場合があります。
広範囲なご意見をお待ちしています。
—-以下は注記です
[1] ただ、日本円にペグする1コイン=1円のものが出てくる可能性はあり、そちらは使われる可能性が有ります。用語として、その手のペグ通貨は、このブログでは暗号通貨の範疇に入れずに記述してます。
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