レポート「アルトコイン図鑑」では30種類以上のコインの概要と見通しを解説(詳しく)
ビッグブロックは持続可能かという問題については、両面の意見があります。
今日見たツイートで問題を端的に指摘しているものがありました。
Reminder: 8MB blocks require an internet connection average of 15Mbps. The average connection world wide is 10Mbps meaning most of the world cannot run nodes, especially all the war-torn countries fake cries about in videos.
— Bitcoin Cash (@RealBitcoinCash)
「世界のインターネット回線の平均は15Mbpsである。ビッグブロックの現状の8Mのブロックですら、世界の殆どの場所で、フルノードを走らせることができなくなる」
というものです。
世界のインターネット平均の回線速度が15Mというデータの根拠にはいろんな意見があろうかとおもいますが、途上国(ベトナム)に住んでいるわたしからすると、肌感覚に近い数字です。
途上国の回線の品質は悪く、とりわけADSLなどは上り回線が非常に遅いです。以前つかっていたものは2−3Mくらいしかでなかった。いまは、光ファイバーに変え、コンシューマむけでは一番高いプランを使っていますが、今計測して、下り30M、上り18Mでした。これだと、8Mのブロックを扱うには不安がのこります。
もちろん、ビジネス用のもっと高い回線もありますが、200-300ドルくらいしますし、都市部の特定の地域でしか引けません。
コンピュータのハードウェアや、ディスク容量は確かにムーアの法則でどんどん上がっていますが、回線容量はそこまで上がっていないといえます。
世界の多くのひとが、自分のノードを持って、自分自らがトランザクションを検証するという考えでは、ビックブロックにすると、その権利がかなり制限されるものと思います。
一方、ビッグブロック側はこのような問題は承知の上です。そして、それは問題ではないとしています。
というのも、ビッグブロックの考えでは、
「マイナーや、取引所、ウォレットなどの事業者は、十分に早い回線を引くことができるので、彼らだけがフルノードを維持すればよい。一般ユーザーはフルノードを利用する必要がなく、それらのノードを信頼してSPVで接続すれば足りるし、そのような設計がサトシのオリジナルビジョンであり、論文にもそう書かれている」
としています。
トランザクションの検証は、ハッシュパワーをもつマイナーだけが行えばよく、個人が検証をしたところで何の意味もなさないという理論です。
このあたりの、スモールブロックとビッグブロックではこのフルノードにかんする前提に、埋められない溝があります。ですので、対話が難しい訳です。ブロックサイズの議論をするとき、この論点は抑えておくといいとおもいます。
しかしながら、マイナーだけがフルノードを維持すれば良いとしても、ブロックサイズが実際に拡大していったとき、はたしてどのくらいのマイナーが維持できるのでしょうか?
現在、マイナーはモンゴルの僻地とか、四川省の山奥のダムの横とか、そういう場所でマイニングしています。
現在、中国の奥地のマイナーが、どのレベルの回線を保持しているかは未知ですが、私はそれほど太くないと推測しています。私の推測では50Mくらいのブロックになると、これらのマイナーはブロックの伝播が遅延し、マイニングが著しく不利になるか、不可能になるような気がします。
仮にブロックサイズが50Mを超えるようになると、ビッグブロックであっても、マイナー間の対立がおきるようになり、内部分裂があるのではないかというのが、私の個人的な予想です。
さらに、ビッグブロックが理想とするような1Gのブロックを扱うとなると、大きなデータセンターが基幹回線に直接ぶっとい回線を確保するレベル以上のものが必要と思いますので、都市部の大規模データセンターでマイニングをしないと成り立たないのではないでしょうか。
ましてや、自然エネルギーをつかって僻地でマイニングをおこなうようなことは難しい。現在、衛星ブロックチェーンブロードキャストによりこうした超僻地でもマイニングの可能性がでてきていますが、それを実現するには、衛星回線でハンドルできるレベルのブロックサイズであることが条件になります。
ビッグブロックを実現するには、マイニングを行う僻地の回線が、ムーアの法則で劇的に安く早くなることを期待することになりそうです。
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