レポート「アルトコイン図鑑」では30種類以上のコインの概要と見通しを解説(詳しく)
ビットコインの価格の上昇や、先物市場の開始を受けて、ビットコインの送金トランザクションが一杯になっている。ここ一週間で、未確認の送金トランザクションが貯まるメモリープールは、かつてないほど混みあった。12月8日のピークでは、約22万件のトランザクションがプールされ、サイズも170メガバイトを超えた。
ビットコインの送金は10分毎にマイニングされブロックに含まれ確定するが、次の10分でブロックに含めてもらうためには、典型的な送金で1500円以上の手数料がかかるという事態になっている。(Johoe’s Mempool Statistics より)
ビットコインでは、一定時間に送金できるキャパシティが決まっているため、多くの送金が集中するとキャパシティオーバーになり、送金の優先度をあげるためには、手数料を高くしないといけない仕組みになっている。
低い手数料であっても、数日から一週間待てば送金されるが、相場に対応するため取引所への入金を急ぐとなると、どうしても手数料が高くなってしまう。兼ねてから、手数料の高騰に関しては不満が囁かれてきたが、1送金が1500円となると、通常の銀行送金よりも遥かにたかく、決済手段としては割に合わないというのは指摘のとおりである。
これに対しては、Segwitという新技術によるキャパシティの拡大と、セカンドレイヤーという2つの解決策が考えられている。Segwitは、この導入をめぐって8月にビットコインとビットコインキャッシュの分裂が起きたため、記憶に新しい。実際にSegwitを利用して送金すると、送金のデータが約40-50%ほど節約できるため、手数料もそのぶんだけ安くなる。ユーザーに取ってはメリットしかないが、現時点ではあまり普及していない。
全取引のうちSegwitの送金が占める割合は12%前後をウロウロしており、なかなか増えない。これは、ユーザーが使うウォレットや、送金の大半をしめる取引所の送金が、Segwitに未対応のためである。Segwitに対応できない理由は様々が挙げられるが、Segwit対応の改修にはそれなりの時間がかかるため、優先順位が低くなっているのが現状だ。
現状のビットコインの取引の形態を考えると、決済のためというより、取引所での売買による差益がユーザーの関心であり、売買で得られる利益を考えれば、一送金あたり数百円から時に1500円といった高額の送金手数料も、正当化されてしまうのであろう。仮に価格が下がり、投資家心理が冷え込めば、送金もすくなくなり手数料も落ち着くだろう。
そう考えると、送金手数料が高いからビットコインは欠陥であるという言説は、そう単純ではなく、ビットコインのファンダメンタルを揺るがすものではいまのところないだろう。
先週12月7日には、ライトニングネットワークのリリース版候補である、V1.0RC1が出た。ライトニングネットワークとは、ビットコインをいったんデポジットすることで、その範囲であれば何度送金しても手数料がゼロの少額決済が可能になるテクノロジーで、これにより決済の利便性が増すことが期待されている。
ライトニングネットワークは、すくなくとも3社がそれぞれ独自に製品を開発していたが、v1.0RC1では、製品ごとにばらつきがあった仕様を統一し、相互の接続性を確認した。これにより、来年の第1四半期には、実際のビットコイン上で、ライトニングネットワークが稼働するのではないかと予想されている。
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