DGカンファレンスを終えて

レポート「アルトコイン図鑑」では30種類以上のコインの概要と見通しを解説(詳しく)

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(photo by Shihido-san)

DGのデジタル通貨のカンファレンスが終わりました。私も2つのセッションに登壇させていただき、海外のコアのビットコイナーともお話させていただいて、大きな気づきをえました。

いくつか書きます。

まず、私が最初のパネルでこういうことをいいました。

「日本でビットコインのニーズは今のところあまりない。(普及のためには)ポイントシステムやゲームといった(周辺のところから)応用されていくのでは?」

これに対して、アフターパーティーで他のパネラーが厳しい意見をいってくれました。

「あなたは日本の代表なのに、なぜそんな事をしゃべるのか?日本はゲームでビットコインを流行らせたいのか?」

ということです。これは真っ当な指摘かと思います。

多くのかたがそう受け取ってしまった失言だったと反省しています。

日本のビットコインの現状に関しては、言ったとおりです。日本では、ビットコインそのものに対しての関心は薄く、多くのベンチャーや大企業とお話させていただいたなかでも、ブロックチェーンの仕組みはおもしろいかとおもうが、貨幣としてのビットコインそのものをとりあつかうことに関してはとにかく及び腰です。ビットコインは取り扱わないで、決済の帳簿としてだけ使えないか・・みたいな。

多くの日本の企業は、ビットコインそのものは避けつつも、ブロックチェーンでなにか出来ないかと考えています。それがポイントシステムとしてつかったり、ゲームと絡めたりというものです。たぶんそれなら日本のひとも取り入れやすいし、まだ良くわからなくてもそこから入るというのは、1つの方法だと思うのです。

開発者にとっても、アプリケーションから入るほうがわかりやすい。”ECDSAの検証の厳格化によるソフトフォーク”がどうのといっても、ちんぷんかんぷんでしょう。

もちろん、私は、ビットコインの本質については、理解しています。

ビットコインは、現在の中央銀行システムというものの枠外に、あたらしい価値の交換体系を作っていくという、極めつけに野心的なものであり、将来にわたっていかに大きなインパクトをもたらすかを理解しなければいけません。

ハードコアなビットコイン派の意見は、ビットコインのコアの部分にもっと集中すべきというものです。規制の議論も、まずは、政府と折り合いをつけて、なんとかしてこれを現実の世界で役立つものとして動かそうと真剣であるわけです。つまり本丸にストレートに切り込んでるわけです。

そういうひとから見ると、ゲームやポイントで普及させようなんていう私の意見は、まったくもってナンセンスなオチャラケた態度にうつったのでしょう。(とくにゲームという単語はそのままgamingと翻訳されると、いわゆるカジノやギャンブルという意味になってしまいます)

現在、私は、その狭間に居ます。

1.0を推進すべきか、2.0を推すべきか。

いままでの感触では、あきらかに後者のほうが日本人としては理解しやすいし、取組みやすい。コンフリクトがなく、自由にできるエリア、たとえばIoTや、独自トークンやゲーム、アルトコインなど。

中央銀行システムを乗り越える話よりも、2.0の話のほうがはるかに受けがいい。コンフリクトがおこらず、未来的なできることが増えるから。そこから始めて、みなさんの経験値を高めていってもらう方向性を考えていました。

しかし、コンフリクトを産まない話ばかりしていると、ビットコインの本質を、みんな理解しないままガラパゴス化してしまうかもしれない。

ビットコインのコアの領域では、セキリティ、サイドチェーンなどの拡張が大事です。この分野でのオープンソースとテクノロジーの発展を支えて大きくしていくことが大事です。そして、送金、ペイメント、保管、エクスチェンジといった基本的なサービスをちゃんと動くようにすることが大事です。まずは、インフラをしっかりさせることの重要性は、なんど強調しても強調しすぎることはありません。

結局1.0か2.0か?これには答えはありません。

2.0から入って1.0というシナリオもあるし、両方が同時並行で進んでいくということもあります。そして、実際にも両方なのでしょう。世界でも、両方から進んできている気がします。日本においても、同時に進んでいくことが望ましいと考えます。

しかし、私自身はすこし2.0に偏った発言をしていたような気がします。それは、先ほどの理由からです。そして少々、日本の実力不足を嘆いてしまっていた部分があるからです。日本はどうせインフラの部分では戦えないだろう。アプリケーションのほうが得意だから、そっちをやればいい。そんなことを思っていたのは、日本の代表としてスピーチする立場として、極めて恥じるべきことでした。

ビットコインのインフラの部分でも、日本から貢献できる領域を増やせないでしょうか。微力でもいいから逃げずに、そこにストレートに立ち向かって行くことを考えたく思います。

もちろん、インフラ、アプリケーション、どちらも両輪です。多種多様な才能が、多種多様なチャレンジをして、いずれの分野も進んでいくことが望ましい。可能性を狭める発想は慎まなければなりません。

今後共、日本の多くの才能のかたにビットコインに参戦いただけるよう、ブログも含めていろいろな場所でお伝えしてコミュニケーションしていきたくおもいます。どうぞよろしくおねがいします。

大石

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