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異様な発明、アトミック・マルチパス・ペイメントについて

レポート「アルトコイン図鑑」では30種類以上のコインの概要と見通しを解説(詳しく)

2月にライトニングネットワークの開発者メーリングリストに投稿された、アトミック・マルチパス・ペイメントが、異様なレベルの発明だと話題になっている。

アトミック・マルチパス・ペイメント=AMP

は、ライトニングネットワークの支払いを改善し、いくつかの批判への回答となるかもしれない発明だ。

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上記の図はライトニングネットワークの図を簡略化して示したものだ。AからCへは、途中のノードを経由して支払いのパスが通っている。しかしながら、それぞれの支払いチャネルには、少量のBTCのキャパシティしかない。たとえば上記の場合はそれぞれ1BTCのキャパシティとしている。

A → Cはどれかひとつのルート(チャネル)からしか支払いを受け付けられないので、上記の場合、一度に受け取れる上限が1BTCということになる。

こうした制約から、なるべくキャパシティの大きなノードと接続するモチベーションができ、中央集権化してしまう。

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上記の図は、中央の巨大支払いハブが現れるという予想だ。中央ハブとは、キャパシティが大きく、他のノードと多数つながってるノードで、多くのひとがもっぱらこれに接続するようになり、分散性が損なわれるという批判だ。

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AMPでは、複数のルートの支払いをまとめて、ひとつの支払いのように処理ができる。

上記がAMPの図である。Route1と、Route2のそれぞれの支払いキャパシティは1BTCづつであるが、これを束ねて、一度に2BTCの支払いが可能となる。

また、支払いが1BTCのままであっても、2つのルートにわけて、0.5と0.5つづとしてもよい。もっと多くのルートに分割も可能だ。

AMPの利用では、なるべく複数のルートの支払いを平均して使うようにする。多くがAMPを利用すれば、支払いがどこかのハブに偏らず平均され、チャネルの利用が分散する。それぞれが少額のチャネルを張っている理想的な分散状態でも、キャパシティの詰まりがなく、支払いが処理できる。

またデポジットの非効率問題への回答にもなってる。ライトニングではネットワーク全体にデポジットされているBTCの総量より、支払いに使える量が必然的に少なくなってしまい、非効率であると指摘されていた。AMPにより、デポジット量=支払いに利用できる量となり、問題が解決する。

また、複数ルートを利用するので、個々の支払いを追うだけでは全体の支払いを把握できず、プライバシー面でも有利である。

AMPでは、ライトニングのベースプロトコルに変更を加えることなるこれらの機能が実装できるとしている。

技術的なハードルがいくつかあるが、AMPでは下記を実現をゴールとしている

  • アトミックな支払い

複数ルートからの支払いがすべて成功した場合のみ完了し、どこかが失敗した場合すべての支払いを無効にできる

  • ペイメントハッシュの非再利用

単純な実装ではペイメントハッシュを再利用すれば可能だが、再利用しない方法で実現する

  • オーダーの不変性

それぞれのルートの支払いの処理の順について問わず、遅れや失敗があっても正しく処理できる。

  • ノン・インタラクティブ・セットアップ

受取り側と直接インタラクティブなやり取りをすることなく、送金側のみでAMP支払いが準備可能である。

今後、このようなペイメントチャネルに関する画期的な技術はどんどん登場するだろう。ビットコインのベースプロトコルや、ライトニングのプロトコルを改造することなく、自由にいろいろな人が技術を開発できるため、進展が早くなる。

インターネットが階層構造のプロトコルであり、上位層が急激に発展したのと同じく、ビットコインにおいても、ベースプロトコルが固まってくるにつれ、上位レイヤーで多くのイノベーションが見られるようになるだろう。

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